なぜ日本の上司は「AI」より信用されないのか なぜ職場でAIが使われないのか「職場におけるAI調査」が示す管理者の課題

日本人の約8割が上司よりロボットを信頼することが調査で分かった。これは調査対象の10カ国平均よりも高い結果だ。一方でロボットの基幹要素であるAI技術の使用率は、調査対象国の中で最も低かった。なぜなのか。

2019年12月24日 05時00分 公開
[上田 奈々絵TechTargetジャパン]

関連キーワード

IT部門 | 機械学習 | 業務効率 | 業務部門


 日本企業ではどのくらい人工知能(AI)技術の使用が進んでいるのか。そして従業員はAI技術に何を期待しているのか。日本オラクルが発表した、職場におけるAI技術の利用実態調査の結果によれば、グローバル平均(日本、米国、英国、フランス、中国、インド、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、アラブ首長国連邦、ブラジルの10カ国)では従業員の50%が何らかの形で業務にAI技術を使っている。日本のAI技術使用率は29%(図1)と、グローバル平均を下回るだけではなく、調査対象となった10カ国の中で最も低かった。

画像 図1 設問「現在、あなたの職場でAIは使われていますか」に対する回答(出典:日本オラクル)《クリックで拡大》

 「自身のマネジャーよりロボットを信頼しますか」という設問に「信頼する」と答えた日本の回答者は合計76%だった(注1)。これはグローバル平均より12ポイント高かった(図2)。この結果について、人事(HR)関連技術に詳しい慶應義塾大学大学院の岩本 隆特任教授は「日本の職場ではマネジメントが論理的にされておらず、働き方の効率が悪いことを示唆しているのではないか」と考察。マネジメント能力や適正を評価して昇格するのではなく、年功序列の制度によって管理職に昇格する人事評価の存在が原因ではないかと指摘する。

※注1:「はい、多くの時に」(12%)、「はい、時々」(22%)、「はい、特定の仕事や質問で」(43%)と答えた回答者の総計。

画像 図2 設問「自身のマネジャーよりロボットを信頼しますか」に対する回答(出典:日本オラクル)《クリックで拡大》

上司とAI、秘密の質問を気軽にできるのはどっち?

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年1月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news041.jpg

「非常時にピザ1枚無料」のデータがドミノ・ピザのマーケティングに生む好循環とは? CMOに聞く
2024年10月にDomino'sのチーフブランドオフィサーからエグゼクティブバイスプレジデント...

news054.jpg

AI搭載は「もう売りにならない」──「Marketing Dive」2025年予測【前編】
広告費が世界で1兆ドルを超える中、マーケターは多くの課題に直面している。不透明な規制...