自動運転車は既に素晴らしい成果を挙げているが、他のドライバーへの動作による合図はまだ実現できていない。この問題は解決する必要があると、MIT Disruption Timeline Conferenceで専門家が指摘した。
車の自動運転機能の追求に向けた動きの速い展開の中で、人間による運転の一部の特性は実現が難しいことが分かってきた。その1つに、道路上でドライバー同士が交わす動作の自動化が挙げられる。マサチューセッツ工科大学(MIT)の機械海洋工学教授でコンピュータ科学・人工知能研究所員のジョン・レオナルド氏が指摘した。
例えば数年前、レナード氏は息子を学校へ送る途中で、左折をして交通の流れに割り込む必要性が生じた。「私が相手のドライバーに手を振ると、その女性は手を振り返してくれた」と振り返る。
極めて簡単なことだが、自動運転車にはそうした動作をすることも、相手と目を合わせることもできない。少なくとも、ドライバー間で手を振れば即座に分かり合えるようなやり方は不可能だ。「機械学習や視覚、物体認識は近年、目覚ましく進歩したが、人との交流は本当に難しい」と同氏は言う。
レナード氏は大学を休職してToyota Research Institute(TRI)で勤務している。今回のエピソードは、このほどマサチューセッツ州で開かれたMIT Disruption Timeline Conferenceのパネルディスカッションで紹介した。パネリストには自律工学を専門とする学者や業界専門家が加わって、この業界の未来について語り合い、人とロボットのコミュニケーションが投げ掛ける課題や、自動運転車業界のための車両間(V2V)通信規格の策定というデリケートなビジネスに脚光を当てた。
安全運転における非言語コミュニケーションのパワーは、少なくとも現時点では、自動化よりも拡張の問題だとレナード氏は解説する。拡張とは、ロボットが人間を助けて作業を完了させることであり、「機械の知覚と人間の能力の最良部分」の融合、と同氏は形容する。だが、ロボットと人とのどんな交流が成功をもたらし、安全な結果につながるのかを突き止めることは、それほど容易ではない。
Society of Automotive Engineersが定める自律型システムの「レベル2」「レベル3」の規定では、ドライバーは必要に応じて介入できる態勢になければならない。レベル2のシステムでは、ドライバーは常に車両を制御できる準備をしておく必要があり、それより先へ進んだレベル3では、ドライバーが介入しなければならない頻度は減って、介入の必要がある時には通知が出る。ただし問題として、人間は「警戒感減退問題」、すなわち意識的な集中力が時間の経過につれて薄れる問題に見舞われる。
「人間は実際のところ、自律システムの監視にあまり長けていない」とレナード氏。TRIではドライバーの警戒感持続に頼るよりも、監視と介入を担う「ガーディアンエンジェル」システムの実験を行っているという。
「(自律システムから)人間へ引き渡す代わりに、自律システムに警戒させることができるというのがわれわれの考え方だ」とレナード氏。TRIのモデルでは、「高度に進んだ安全システムの開発を試すため」、引き渡しは人から自律システムへの一方通行のみとしているという。
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