さまざまな企業が、技術スタッフや遠隔拠点の従業員の生産性を大きく高めることに「AR」(拡張現実)技術が有用だと考えている。
環境修復に関わる事業を展開するEncotech Engineering Consultantsでバイスプレジデントを務めるジェイソン・ラリ氏は「中東で働く従業員のトレーニングに対して、まるですぐ隣に立っているように遠隔サポートできる」と話す。同社では、遠隔地にある顧客の下水処理施設などの作業場所でさまざまな機器の設置や修理をする技術者が、セイコーエプソンのAR用ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を使用している。
「VR」(仮想現実)用HMDは、ユーザーの視界を没入型映像で覆う一方、AR用HMDは現実世界に仮想要素を付け加える。Encotech Engineering Consultantsの技術者のような作業者はAR用HMDを使うことで、ガイダンスが必要なときに部品図や修理手順などの情報を見ながら作業できる。AR用HMDがなければ、紙の説明書やタブレット/スマートフォンの画面を参照しなければならないだろう。
2019年に開催された最高情報責任者(CIO)向け年次カンファレンス「MIT Sloan CIO Symposium」の講演で、ハーバードビジネススクール(Harvard Business School)教授のマイケル・ポーター氏はこう語った。「現在のユーザーインタフェースは物理世界とデジタル世界を切り離している。物理世界と調和するユーザーインタフェースが必要だ」。2次元のインタフェースと3次元の世界を行ったり来たりして作業していると、脳に負担が掛かり、作業者の生産性や正確性を低下させる。同氏はこれを「認知距離」の問題と呼ぶ。
これに対し、AR技術を用いたユーザーインタフェースは2次元と3次元を調和させる。ポーター氏は「AR技術が作業にもたらす影響は大きい。最前線で働く作業者に情報を提供する最も自然な方法だ」と強調。「これで工場での作業も最先端の技術を取り入れたクールなものになる」と語る。
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