SOMPOホールディングスおよびグループ会社(以下、SOMPOグループ)はアプリケーション実行環境のクラウドサービスであるPaaS(Platform as a Service)を利用して、グループ内企業である損害保険ジャパン日本興亜の保険代理店システムを構築した。保険代理店の従業員約35万人が利用するシステムを、どのような視点でPaaSを選定したのか。導入して分かったメリットと課題とは。
SOMPOグループは損害保険業を中心に多角的な事業を手掛けている。Herokuの導入プロジェクトを主導したのは、同グループのシステム構築を手掛けるSOMPOシステムズだ。国内の損害保険事業および生命保険事業、介護・ヘルスケア事業、海外保険事業、デジタル事業といった分野において、ITを活用してグループ各社や顧客企業を支援する役割を担っている。今回の保険代理店向けシステムの運営も主要な業務の一つだ。
保険代理店向けシステムは、全国の代理店に所属する約35万人の従業員が利用しているSoE(Systems of Engagement:顧客とのつながりを構築するためのシステム)だ。顧客関係管理(CRM)や帳票作成、カレンダーなど、保険業務に必要なアプリケーションを10種以上搭載する。画面数は約250個に上る大規模なシステムだ(図)。保険代理店の従業員がスマートフォンやタブレット、PCなどさまざまな端末からこのシステムにアクセスする。
SOMPOシステムズ取締役兼CTO(最高技術責任者)の小澤 淳氏によると、従来の保険代理店向けシステムは「運用コスト」と「技術的制約」という2つの問題を抱えていた。
運用コストに関する問題のあらましはこうだ。従来の保険代理店システムは、幾つかのSaaS(Software as a Service)を組み合わせて構築していた。SaaSを使えば短期間でシステムを構築して稼働開始できるメリットがある。ただし利用していたSaaSはユーザー単位での課金体系で、ビジネス規模が拡大してエンドユーザーが増加すると、SaaSの利用コストが割高になる傾向があった。「もう少しコスト効率の良いシステム構築手段に移行できないかと検討していた」(小澤氏)
技術的制約は「Webブラウザのサポート切れ」に関する問題だ。従来の保険代理店システムの一部はMicrosoftのWebブラウザ「Internet Explorer 8」(IE 8)の動作を保証していなかったが、依然としてIE 8を使ってアクセスする従業員は少なくなかった。そのため古いWebブラウザからでも安全にアクセスできる手段が必要だった。
こうした課題を解決するために、SOMPOシステムズは保険代理店システムを再構築することにした。SaaSからPaaSへの移行だ。
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