Samsung Electronicsの第6世代「V-NAND」は、100層以上のメモリセルを積載した3次元NAND型フラッシュメモリだ。高速性、大容量、低消費電力をどう実現したのか。
Samsung Electronicsは、メモリセルの積層数が100層を超えるフラッシュメモリである第6世代「V-NAND」(Vertical NAND)を採用したフラッシュストレージの量産を開始した。V-NANDはSamsungが自社の3次元NAND(3D NAND)型フラッシュメモリに対して与えている呼称だ。SD NAND型フラッシュメモリは、メモリセルを垂直方向に配置して高密度化と大容量化を図る。
第6世代V-NANDは、データ読み書きの高速性とさらなる低消費電力を実現するとともに、フラッシュメモリの積層数をさらに増やす可能性を見せた。SamsungはまずPCベンダー向けに容量250GBの第6世代V-NAND搭載フラッシュストレージの量産を開始し、次にデータセンター向けのより大型モデルの製品化に着手する計画だ。
V-NANDのアーキテクチャは、メモリセルを複数の層に積み上げることでNAND型フラッシュメモリのメモリセル密度を高める。前世代である第5世代のV-NANDは、90~99層のメモリセルを積層している。
3D NAND型フラッシュメモリは、メモリセルを垂直方向に積み重ねて積層構造を形成する。一般にメモリセルの積層数が多いほど大容量になるが、現在の技術では積層できる数に限界がある。容量を増やす別の手法として、1個のメモリセルに格納するビット数を増やす方法もある。現在は、メモリセルを積層しない1層の「プレーナ型」でも3D構造でも、大半のNAND型フラッシュメモリは1メモリセルに3~4ビットを格納する。
以前は、メモリセルのサイズを小さくすることで1つのメモリチップに登載するメモリセル数を増やし、メモリセル密度を高めようとしていた。ただしメモリセルのサイズを縮小すると電荷が漏出してデータが破損しやすくなり、品質の低下につながる。メモリセルを垂直方向に重ねれば、メモリセルを適切なサイズに保ってデータ保存の信頼性を維持したまま、密度を高めることができる。このようにして3D NAND型フラッシュメモリは、1つのメモリセルに格納するビット数を増やすとともに、1つのメモリチップに搭載するメモリセルを増やすことで大容量化を実現している。
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