SAPのERPシステムのホスト先をオンプレミスからクラウドに移行すると、ITインフラの運用負荷を軽減できる可能性がある。ただし目を向けなければならない問題もある。それは何なのか。
クラウドへのERP(統合業務)システムの移行を検討しているSAP製品のユーザー企業は、その長所と短所を考えなければならない。
ERPシステムは一般的に、企業にとって重要な業務システムだ。従業員はERPシステムを利用して、在庫の追跡や請求書の作成、製造スケジュールの管理などを遂行する。自社のERPシステムへの重大な影響を避けるために、企業はオンプレミスのサーバを保持してERPシステムを運用することが少なくない。とはいえSAPのERPシステムをクラウドに移行すれば、IT部門は新しい機能やメリットが得られる可能性がある。
SAPをクラウドに移行した場合、以下のようなメリットがある。
SAPのERPシステムの運用にはアプリケーションサーバやデータベースサーバなど複数のサーバとストレージシステムが必要だ。長期にわたる運用の中でデータの要件やユーザー数が変化することで、サーバとストレージシステムの増設や仕様変更が必要となる可能性がある。特にハードウェアの増設は負荷の高い作業だ。クラウドに移行すれば、IT管理者は管理ポータルで数回クリックするだけで、サーバの処理能力やストレージ容量を素早く増強できるようになる。
ユーザー企業はSAPのERPシステムの導入時に、自社に必要な機能を利用しやすくするためにカスタムコードの実装などのカスタマイズをすることがある。こうしたカスタマイズをする前に、開発やテストのための補助的な動作環境が必要になる。
クラウドベンダーはテスト環境を配備するための簡単かつコスト効率の良い方法を用意している。こうしたテスト環境は、必要なときだけ利用料を支払うことで使用できる。
サイバー攻撃は巧妙化しつつあり、セキュリティ侵害によるデータ損失の不安を抱える企業は少なくない。こうした現状を踏まえ、最高情報責任者(CIO)や最高情報セキュリティ責任者(CISO)は、クラウドに自社システムを配置してクラウドベンダーが提供するセキュリティ機能を利用することを選択肢の一つにできる。
例えばMicrosoftは、クラウドに組み込むID管理機能やアクセス制御機能などを提供している。ユーザー企業は、脅威を検出するために高度な機械学習や行動分析などを利用する追加のセキュリティ保護機能の購入も可能だ。
オンプレミスのデータセンターを管理するに当たって、必要なコンプライアンス要件を満たすことが、IT部門の大きな負担になることがある。そのような場合は、ITインフラに関する各種法規制に準拠したクラウドにSAPのERPシステムを移行することで、負担を軽減できる可能性がある。Amazon Web Services(AWS)やGoogle、Microsoftなどの大手ベンダーのクラウドは、主要な法規制への準拠を進めている。
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