ローコード開発導入の前に検討すべき課題Computer Weekly製品ガイド

ローコード開発ツールには生産性の向上や製品化の期間短縮、専門スキルへの依存度低下など、数多くのメリットがある。だがコストやセキュリティ、製品の選定やアプリケーションについては慎重な検討が必要だ。

2020年04月06日 08時00分 公開
[Paul VincentComputer Weekly]

 ローコード開発の主なメリットとしては、生産性の向上、製品化の時間短縮、専門スキルの必要性の低下、(ローコード開発ツールの外で)必要とされるツールのシンプル化などが挙げられる。

コスト不安

 ローコード開発ツールを導入する場合、時間の短縮とリソースの削減は依然として最大のメリットだが、多くの場合コストが懸念材料となる。サブスクリプションモデルを最初に契約する際は細心の注意と慎重さが求められるということを理解していない顧客は、高い割合で存在する。

 「ユーザー当たり」あるいは「アプリケーション当たり」のコストは使用ボリュームに伴って低下する。勧告されている通りに小さく始めれば、必要に応じて拡張するための条項をローコード開発ツール契約に確実に盛り込めるはずだ。組織の各チームが、毎月あるいは2カ月ごとに新しいアプリケーションを構築できれば、アプリケーションは瞬く間に数十本に増え、その全てが比較的短期間でビジネスクリティカルと見なされるようになる。

 一部のIT組織は、一般的にはAPIを通じて解決する既存のITシステムとの統合に関する疑念から、ローコード開発ツールの採用に二の足を踏む。だが現代のローコード開発ツールサプライヤーの大多数は、APIを通じた既存のサービスの呼び出しに対応している。顧客のデータまたはサービスにアクセスするための独自のAPIも提供している。

 Gartnerは現代の企業向けツールの条件として、API対応を必須としている。だからといって、ローコード開発の重点が単純にAPIからヘッドレスサービスへのアプリケーション構築に置かれているわけではない。多くのローコード開発ツールはまた、マルチエクスペリエンス開発機能を搭載し、極めて使いやすく、顧客に優しいユーザーエクスペリエンスをWebおよびモバイル端末で提供している。

セキュリティ問題

 コストやサプライヤーの選定は別として、採用に当たってセキュリティを軽視してはならない。ローコード開発ツールは、ファイアウォールの内側で企業と従業員が使うB2E(Business to Employee)アプリケーションに導入されてきた。だが最近ではB2C(Business to Consumer)やB2B(Business to Business)にも使われるケースが増え、セキュリティを考慮する必要性が増している。

 だがプラットフォームとして、さらには舞台裏で自動的に更新されるクラウドサービスとして提供される場合、特権付与や認証の仕組み、データ暗号化サービスといったベストプラクティスに対する強力なサポートが存在する。

 オンデマンドの自動デプロイ機能を備えたローコード開発ツールのほとんどはDevOps業務が組み込まれ、あるいは自動化されて、ソフトウェア開発サイクルがプラットフォームの機能として合理化される。これは特にビジネス自動化にとって興味深く、Gartnerは「DigitalOps」と呼んでいる。

 Gartnerによると、重点はビジネスITチームに置かれているにもかかわらず、開発者コミュニティーの中で重要性を増しているのは単純なアプリケーションのラピッド開発、あるいは最低限の機能を持つ製品やマルチエクスペリエンス機能の開発を必要とする中央のITプロフェッショナル開発者だという。従来型のアプリケーションプロジェクトの中でローコード開発を使う場合は、ローコード開発ツールと並行して標準的なDevOps自動化のアプローチを使いたいと考えることもある。

 アプリケーション開発とプラットフォーム戦略の責任を持つアプリケーションリーダーは、最大限の恩恵を受けるために考慮すべき多数の事項を念頭に置く必要がある。まずはアプリケーションの用途を分類してローコード開発に適しているものを洗い出し、低い開発スキルで製品化の期間を短縮しなければならない用途にローコード開発を選定する。

 全般的に、インフラの民主化とクラウドサービスの進化、さらにはアプリケーション開発の民主化とローコード開発との間には強い親和性があるとGartnerは考える。現在は全ての企業がクラウド戦略を持っており、いずれはローコード開発戦略も持つようになるだろう。

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