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バイデン米大統領、セキュリティの「大胆な強化」に動く ゼロトラストへ移行も
米国の連邦政府は多発するサイバー攻撃を受け、政府機関や民間企業のセキュリティ対策を強化するための大統領令を発令した。具体的にどのような技術を使い、どのような取り組みを進めるのか。
ジョー・バイデン米大統領は2021年5月12日(現地時間)、米国のセキュリティ対策を強化する大統領令に署名した。民間企業におけるサプライチェーンのセキュリティ強化の他、接続する全てのデバイスやユーザーを信頼しない「ゼロトラストネットワーク」や「多要素認証」の採用といったセキュリティ対策を推進する。
米国では、SolarWindsのセキュリティ製品の脆弱(ぜいじゃく)性を悪用した企業への「サプライチェーン攻撃」(子会社や取引先などサプライチェーンの脆弱性を狙ってネットワークに侵入する攻撃)や、石油パイプライン企業Colonial Pipelineへの「ランサムウェア」(身代金要求型マルウェア)による攻撃など、重大なインシデントが立て続けに発生している。今回の大統領令は連邦政府だけでなく、民間企業のシステムを守ることも目的としている。
セキュリティ強化に向けた優先事項
今回の大統領令で示した具体策の一つとして、連邦政府は民間企業との間のコミュニケーションを強化し、脅威に関する情報を共有しやすくする。連邦政府のセキュリティ基準を引き上げることや、民間企業のサプライチェーンを支えるソフトウェアに対するセキュリティ対策の改善などにも優先的に取り組む。大統領令は「段階的な改善では十分に安全を確保できない。米国の人々の生活を守るために、大胆なセキュリティの強化が欠かせない」と指摘する。
大統領令は連邦政府にソフトウェアを販売するベンダーの製品に対し、これまでより高いセキュリティ基準を設ける。具体的には、ソフトウェアベンダーに対してソフトウェアの仕組みの可視性を高めるとともに、製品のセキュリティに関連する情報を広く提供することを要求する。大統領令によれば、商用ソフトウェアは透明性を欠いており、サイバー攻撃によるデータ改ざんを防止するための機能も不十分だという。
連邦政府は今回の大統領令によって、ソフトウェアを安全に利用できるかどうかを示すラベル付けもソフトウェアベンダーに促す。連邦政府や民間企業が重要な業務に利用するソフトウェアには、攻撃を誘発する深刻な脆弱性が含まれていることがあるため、そのリスクを抑制することが目的だ。連邦政府の影響力を利用してソフトウェアベンダーに製品のセキュリティ強化を促す。
今回の大統領令は政府機関に対し、ゼロトラストネットワークや、エンドポイントの不正な挙動を検知して対処する「EDR」(Endpoint Detection and Response)などへの投資を義務付けたことも重要なポイントだ。これを受けて、連邦政府機関は大統領令の発令から60日以内にゼロトラストネットワーク実現に向けた計画書を作成するという。
国土安全保障省(DHS)の管轄下にあるサイバーセキュリティインフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)のディレクター代理を務めるブランドン・ウェールズ氏は、ネットワークに「ゼロトラストモデル」を実装することは連邦政府にとって不可欠だと指摘する。同氏は2021年5月上旬、SolarWinds製品の脆弱性が悪用された攻撃に関する上院委員会の公聴会で、「ゼロトラストモデルをネットワーク設計の標準として採用する必要がある。これは安価ではないが、実装しない場合の攻撃による損害額の方がはるかに高くつく」と語った。
今回の大統領令は政府機関に対し、多要素認証を使ってシステムへの不正なアクセスを防ぐとともに、保存や送信をするデータの暗号化を義務付けた。安全なクラウドサービスへのデータ移行の加速も促している。
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