ストレージ仮想化ソフトウェア「Valence」は、オンプレミスのフラッシュストレージからクラウドのストレージやオフラインのテープまで、あらゆるストレージを統合管理できるという。
スタートアップ企業22dot6が、ストレージ仮想化ソフトウェア「Valence」を発表した。同社の大胆な主張によると、フラッシュストレージから「Amazon S3 Glacier」のようなコールドストレージやオフラインのテープまで、既存の全ストレージを統合して単一のビューを提供するという。この発表の中心は、22dot6の「Transcendent Abstracted Storage System」(TASS)アーキテクチャとValenceだ。
Valenceはマルチプロトコル(SMB、NFS、Amazon S3)アクセスで、スナップショット、レプリケーション、移行、クローン作成などのストレージサービスも提供する。CSI(Container Storage Interface)ドライバを備え、コンテナ用の永続ストレージも提供する。
Valenceは「Linux」ベースの製品で、ベアメタルや仮想化環境にデプロイできる。企業のインフラをグローバルで統一し、任意の場所に格納されているデータへのアクセスを可能にし、可用性を高めることが主なメリットだ。
この製品は「IBM Spectrum Virtualize」や「DataCore SANsymphony」といったストレージ仮想化製品とよく似ている。22dot6は、Valenceにはクラウドとオフラインのデータソースを抽象化する機能があるため、そうしたストレージ仮想化製品よりもはるかに優れていると主張する。
Valenceは2つの異なるノードで構成される。既存のストレージにデータを残したままの状態でデータのメタデータを処理するノード(VSRノード)と、データサービスを提供するノード(DSXノード)だ。VSRとDSXは複数ノードのクラスタに組み込むことができ、既存のストレージアレイ製品を大きく上回るパフォーマンスを提供する。そう話すのは同社CEOのダイヤモンド・ラウフィン氏だ。同氏は以前、StorbyteやNexsanに勤めていた。
「Pure StorageやNimble Storageに見られるアクティブ/アクティブのデュアルコントローラーは1998年の考え方だ。このアーキテクチャでは一度に1台のコントローラーしか使えないので、事実上アクティブ/パッシブだ」
「RAIDコントローラーに障害が起きたことはあるだろうか。1週間に75社の企業と話をしているが、この5年間でRAIDコントローラーに障害が起きたという話は聞いたことがない。2台もコントローラーがあるのに、50%のスループットしか使えないのはもったいない」(ラウフィン氏)
Valenceは単一の名前空間を提供する。アクセスはボリュームやLUNに限定されない。
ノードは、ユーザーが用意した市販のハードウェアか22dot6が事前に構成したものを利用できる。価格はストレージのクラスと容量に依存する。「パフォーマンスが最も高いストレージと最も低いストレージでは5〜10倍の差が出る」(ラウフィン氏)
TASSは全てをアクティブサイトと見なす。サイト間でデータをリアルタイムに共有して、全てをプライマリーサイトとして機能させることができる。
ラウフィン氏は、アーキテクチャにはスケールアップとスケールアウトの性質があるため最大60ノードで最高1200GBpsのスループットを実現すると言う。
TASSはメタデータ管理、データ分析/プロファイリング、データサービスと、IOPSを提供するプロセスやスループットを管理するプロセスを分離する。Valenceはこうした異なるタスクを専用のCPUとリソースを備えたノードに割り当てる。さらに予測分析やレポート処理でパフォーマンスをリアルタイムに監視し、ユーザーが定義した目標(読み取り/書き込みの帯域幅、IOPS、レイテンシなど)を保証する。
データ保護は、アプリケーション、ユーザー、サブファイルレベルで構成できる。Valenceをマルチテナントとして構成し、数千の顧客や社内部門を完全に分離して管理することも可能だ。
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