「オペレーショナルレジリエンス」向上の肝は “回復力”を高める秘策企業の「オペレーショナルレジリエンス」を高める方法【前編】

ビジネス活動の回復力「オペレーショナルレジリエンス」を高める施策に取り組む企業は、どのような施策を打てばいいだろうか。従来の危機管理対策のみにとどまらない、オペレーショナルレジリエンス向上策を探る。

2021年11月29日 05時00分 公開
[Paul KirvanTechTarget]

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BCP(事業継続計画)


 企業は、ビジネス活動の回復力「オペレーショナルレジリエンス」に関わる規律を実践しているのが一般的だ。恐らく事業継続計画(BCP)、災害復旧(DR)、インシデント管理、危機管理、リスク管理といった規律を実践しているだろう。

 各部門の取り組みが分断することが原因で、こうした緊急時の活動の有効性が限定されることがある。オペレーショナルレジリエンスのトレーニングには、緊急時の対処における部門横断的な視点を取り入れる必要がある。

ビジネスの回復力「オペレーショナルレジリエンス」 その向上の肝は

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)中に業務の運用を維持するには、企業内の業務分野の相互作用を重視し、部門間のコミュニケーションや知識共有を増やす必要があることを企業の経営陣は知った。企業のオペレーショナルレジリエンスを進化させる際も同様で、部門横断的に実施するコミュニケーション、コラボレーション、知識共有が必要だ。従来の緊急戦略にオペレーショナルレジリエンスが取って代わりつつある現在、企業の規模や種類を問わず、業務運用への導入を検討する必要がある。そのため企業は、オペレーショナルレジリエンスのトレーニング活動を展開し、従業員の意識向上を促さなければならない。

 オペレーショナルレジリエンスには、例えばBCPとDRなど、それを実現する過程で、相互に影響し合う可能性の高い規律がある。プログラムを実施する際に重要な要素は、こうした分野間の相互作用だ。そこにサイロがあってはならない。それが、レジリエンス活動と従来の緊急戦略で異なる点だ。業務運用を維持するうえで重要な役割を果すのが各分野だ。回復力を高めるには各分野を担当する従業員間のコミュニケーションと連携が必要になる。

啓発活動はどうやって実施する?

 包括的なオペレーショナルレジリエンストレーニングプログラムは、啓発活動から始める。トレーニングプログラムを実施する部門が、従業員のオペレーショナルレジリエンスの取り組みへの意識を生み出すために使える方法は以下の通りだ。

  • 計画の立案
    • オペレーショナルレジリエンスへの従業員の意識レベルを明らかにするための分析を実施する。分析結果を使って、意識啓発プロジェクトの計画を立案する
  • 人事部門との相談
    • オペレーショナルレジリエンスのトレーニングプログラムと意識啓発プロジェクトの手順を文書にし、従業員が参照できるようにする。手順の策定に当たっては、人事部門と連携し、啓発活動のスケジュールを定める
  • 経営陣の関与
    • 経営陣を関連会議に招き、啓発活動への支持を取り付ける。事業部門のリーダーや経営陣が参加できるオペレーショナルレジリエンスに関する定期ブリーフィングのスケジュールを設定する
  • 全従業員への情報提供
    • さまざまな場所でオペレーショナルレジリエンスの取り組みに対する従業員の意見を集める。従業員の関心を幅広く引き付けるためのメッセージにその意見を取り入れる。社内メール、イントラネット、ソーシャルメディアを使って、オペレーショナルレジリエンスに関するメッセージを定期的に発信する
    • オペレーショナルレジリエンスに関する定期ブリーフィングと従業員との質疑応答セッションのスケジュールを設定する。定期ブリーフィングに直接関与しない従業員から意見や提案を募るために、アンケートの実施を検討する。オペレーショナルレジリエンスに関するコミュニケーションが簡潔ながら有益になるよう保つ。

 後編は、オペレーショナルレジリエンスのトレーニングプログラムを実際に進めるに当たっての取り組みリストを紹介する。

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