セキュリティを高めるために「最も重要なこと」は? 専門家の意見はLinuxセキュリティ専門家に聞く【後編】

講じるべきセキュリティ対策は意外と簡単だ。ただし、徹底的に実行することが鍵を握る。Linuxセキュリティの専門家に聞いてヒントを得よう。

2021年12月10日 05時00分 公開
[Kyle JohnsonTechTarget]

関連キーワード

Linux | 脆弱性 | セキュリティ


 IT管理にたけているデービット・クリントン氏が執筆した書籍『Linux Security Fundamentals』(2020年10月発売)はLinuxセキュリティの基礎をまとめている。米TechTargetは同氏に同書の内容について単独インタビュー。中編「LinkedInで自社の脆弱性が分かる? 出回っている情報の把握はなぜ重要なのか」はクリントン氏が指摘するシステムのありがちな脆弱(ぜいじゃく)性を考えた。後編となる本稿は企業がフェイルオーバー(本システムが停止した際に自動的に代替システムが利用できるようになる仕組み)を活用する重要性を取り上げる。

簡単そうで難しい 基本的なセキュリティ対策の徹底の重要性

―― 『Linux Security Fundamentals』で、フェイルオーバーを活用する重要性を強調されています。フェイルオーバーは常に最適な方法でしょうか。

クリントン氏 答えは、どれだけ迅速にシステムを稼働状態に戻す必要があるかによって異なる。1台のワークステーションだけなら、緊急性が低いため、フェイルオーバーは不要だ。しかし、例えば継続稼働が不可欠な米国政府のWebサイトであれば、フェイルオーバーシステムを使う以外に選択肢はない。企業はAmazon Web Services(AWS)などの大手プロバイダーのクラウドサービスを使用すれば、簡単にフェイルオーバー機能を使える。

 フェイルオーバー活用のポイントは、代替システムを本システムと同じ場所で構築しないことだ。なぜなら、その場所に何か問題が発生したときにフェイルオーバーができなくなるからだ。それを防ぐために有効な手段として、外部のインフラを使いシステムを分散させることが挙げられる。企業はAWSを利用しているなら、同社の分散リレーショナルデータベースサービス「Amazon Relational Database Service」(Amazon RDS)を使ってデータベースの複製を作ることができる。それにより、障害が起きた際に数分後にはWebサイトを稼働状態に戻すことが可能になる。

 企業はフェイルオーバーを活用したり、データベースを複製したりすれば、ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃を受けても、被害を最小限に抑えられる。攻撃の後、自社の力でシステムを即座に稼働状態に戻せるなら、身代金を支払う必要はない。

―― クリントンさんはご自身のキャリアを振り返り、セキュリティを高めるために「最も重要なこと」は何だとお考えですか。

クリントン氏 暗号化ツールやファイアウォールを中心としたセキュリティ製品の実装の他、パッチ管理やポートを閉じることによるリスク削減といった、基本的な対策の徹底だ。これらは知識としてあっても、実行しなければ意味がない。攻撃を受けたことがある企業の大半が痛感していることだろう。定期的なバックアップの実行はIT管理者にとって大変な作業だ。企業はバックアップの自動化ツールを利用すれば、IT管理者の負荷を減らすとともにセキュリティを高めることができる。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€驛「譎擾スク蜴・�。驛「�ァ�ス�、驛「譎冗樟�ス�ス驛「譎「�ス�シ驛「譏懶スサ�」�ス�ス

製品資料 NTTデータルウィーブ株式会社

失敗しないSASE導入のポイント、“シングルベンダー”がよい理由とは?

ネットワークとセキュリティの機能を一体化したフレームワーク「SASE」が注目されている。一方で、SASEはさまざまな機能で構成されるため、高評価のツールを組み合わせることが多いが、これが後悔の種になることもあるという。

市場調査・トレンド NTTデータルウィーブ株式会社

SASEの導入をためらう理由は? 調査で見えた課題と解決策

近年、SASE(Secure Access Service Edge)への注目度が高まっているが、その導入は決して容易ではない。そこで、ネットワークおよびセキュリティ、そしてSASEの導入・運用にまつわる課題を明らかにするため調査を実施した。

製品資料 ゾーホージャパン株式会社

内部統制を強化してセキュリティリスクを低減、特権ID管理のベストプラクティス

内部統制強化のため、企業には、システム化による評価プロセスや、システム運用の効率化などが求められている。その解決策の一例となる特権ID管理ツールについて、その機能や導入によって回避可能なセキュリティリスクを解説する。

製品資料 フォーティネットジャパン合同会社

クラウドセキュリティ運用の課題、増え続けるアラートの優先度を最適化するには

クラウドセキュリティ運用の大きな課題になっているのが、増え続けるセキュリティアラートに優先度を設定することだ。各環境によって最重要課題は異なるため、環境に合わせて優先度を設定することが必要になる。その実現方法とは?

製品資料 BLACKPANDA JAPAN株式会社

サプライチェーン攻撃から組織を守る、攻撃サーフェスの防御を強化する方法

サイバーセキュリティではまず、攻撃サーフェスへの対策が重要だが、近年はリモートワークやクラウドの普及により、攻撃サーフェスも拡大している。しかも、サプライチェーン攻撃の増加により、中小企業でも対策は待ったなしの状況だ。

驛「譎冗函�趣スヲ驛「謨鳴€驛「譎「�ス�シ驛「�ァ�ス�ウ驛「譎「�ス�ウ驛「譎「�ソ�ス�趣スヲ驛「譎「�ソ�スPR

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

セキュリティを高めるために「最も重要なこと」は? 専門家の意見は:Linuxセキュリティ専門家に聞く【後編】 - TechTargetジャパン セキュリティ 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

TechTarget驛「�ァ�ス�ク驛「譎「�ス�」驛「譏懶スサ�」�趣スヲ 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。