「ジェネレーションN」がもたらすシャドーITのリスク “デジタル好き”が裏目に「ジェネレーションN」とどう付き合うか【後編】

調査によれば、職場のデジタル技術にこだわりを持つ「ジェネレーションN」は「デジタルに精通している」という自負を持つ一方で、セキュリティリスクに疎い傾向がある。この事実が示す新しいセキュリティ課題は。

2021年12月16日 05時00分 公開
[Joe O'HalloranTechTarget]

 前編「自称“デジタル強者”の『ジェネレーションN』とは? 彼らが求める『理想の職場像』」は、Hewlett Packard Enterprise(HPE)傘下のAruba Networksが2021年8〜9月、イタリア、フランス、スペイン、ドイツ、英国のハイブリッドワーカー(テレワークとオフィスワークを組み合わせて働く人々)5018人を対象に実施した実施した調査データを紹介。ハイブリッドワーカーの大多数が「ジェネレーションN」(Generation Novel)の特徴や価値観に共感を示し、職場で使うデジタル技術にこだわりを持つ傾向が見られた。

 マーケティング戦略の専門家でデジタル人類学者のブライアン・ソリス氏が提唱した「ジェネレーションN」(Generation Novel)とは、デジタルファーストの体験を好み、自身が購入するブランド、勤務する企業、支援する企業に対して「パーソナライゼーション」「カスタマイズ」「透明性」の価値を重視する集団だ。ジェネレーションNとは特性の世代を指す概念ではなく、異なる世代の人々の集まりを指す。前述の調査で回答者の75%が「自身はデジタル技術に精通している」と回答した。

 後編も引き続き調査データを紹介しつつ、ジェネレーションNの特性がもたらす可能性のあるセキュリティ課題を考察する。

「デジタルに精通」の自負がもたらす「ジェネレーションN」のセキュリティリスク

 前述のAruba Networks調査をまとめたレポート「A hybrid workplace for a hybrid workforce――Is your business ready to support Generation Novel?」によると、ハイブリッドワーカーは、職場のデジタル技術の役割に対して新しい見解を持つことが明らかになった。回答者の80%が「自分の会社はデジタル技術の健全な使用を促すポリシーを維持しなければならない」と答え、73%が「デジタル技術には、ハイブリッドワークを新たに取り入れた職場でインクルーシブな環境を築くために果たすべき役割がある」と考えていた。その一方で回答者の44%は「雇用主は現在そのような取り組みをしていない」と考えていた。

 仕事で技術的な問題に遭遇した場合、回答者の74%は「20分以内」に解決することを期待し、回答者の42%は「10分未満」の解決を期待していた。

 一方で回答者の半数以上(55%)は、少なくとも週1回はパスワードで保護されていない公衆ネットワークに接続していた。接続の際に常にセキュリティリスクを考えていたのは3分の1(33%)にすぎなかった。82%もの回答者が、個人のモバイル機器を使って業務上の情報にアクセスしていた。

 Aruba Networksの欧州・中東・アフリカ担当副社長、モートン・イルム氏は「この調査結果は、ハイブリッドワーカーとして台頭するジェネレーションNが職場のツールやシステムに対して雇用主に新たな要求をつきつける可能性を示唆している」と話す。

 ジェネレーションNが引き起こしかねないセキュリティリスクを軽減させると同時に、業務効率を向上させ、従業員を支援するために「企業は新しいニーズに対処しなければならない」とイルム氏は指摘する。オープンでありながら安全なネットワークを構築できれば、「セキュリティを損なうことなく、彼らが求める自由度やパーソナライゼーションを提供できる」とイルム氏は付け加える。

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