警察と大学で「RPA」導入に携わったスタッフォードシャー大学のIT幹部によると、RPA導入の理由は2つの組織で全く異なっていた。それぞれの導入理由とは。
英国のUniversity of Staffordshire(スタッフォードシャー大学)は、ソフトウェアロボットを活用して校務を自動化する「RPA」(ロボティックプロセスオートメーション)の導入に取り組んでいる。同校が進めるデジタルトランスフォーメーション(DX)の一環だ。
RPAの導入に当たってUniversity of Staffordshireは、将来起こり得る問題を特定して備える「ホライズンスキャニング」と事実調査を実施した。その後、RPAベンダーBlue PrismのクラウドRPA(RPAのクラウドサービス)「Blue Prism Cloud」を使った校務自動化プロジェクトを始めた。
University of Staffordshireの最高デジタル責任者(CDO)、アンドリュー・プロクター氏によると、同校が最初に自動化したのは財務部門の校務プロセスだった。プロクター氏は同校でソフトウェア工学を専攻し、2000年ごろに卒業した経歴を持つ。同氏のチームは現在、校務自動化をさらに推進しようと計画している。校務自動化に関する数年間にわたるロードマップを定めており、ほとんどの校務を自動化の対象として考えている。
プロクター氏は、英国の大規模な警察組織であるウェストミッドランズ警察で同様の職務に5年間従事し、RPAの用途や市場を分析してきた。同氏がUniversity of Staffordshireに移る前に、同警察はRPAの市場調査を実施し、業務自動化のための専門集団(CoE:センターオブエクセレンス)の設置に着手した。
2つの組織の業務自動化プロジェクトは、目的が全く異なる。ウェストミッドランズ警察は、数年にわたる緊縮財政施策によって数千人規模の人員を削減した。そのため少ない人員でサービスの水準を維持するために業務自動化を求めた。一方University of Staffordshireは、職員に創造性を発揮する余裕を与え、ロボットにはできない仕事を担ってもらうことが校務自動化の目的だ。
ウェストミッドランズ警察に在籍していたときには「厳しい予算の緊縮が何年も続いた」とプロクター氏は振り返る。同氏によると、同警察に就職したときの職員数は1万5000人だったが、退職時には1万人ほどに減っていた。業務自動化の目的は、人員削減前と同等の公共サービスを少ない人員で提供することだった。
University of Staffordshireでは「効率性とアジリティ(俊敏性)を高め、変化し続ける環境に適応し、学生の期待に応えることを主眼とするデジタル戦略を実行している」とプロクター氏は説明する。同氏によると、同校の学生は自分のニーズに合ったIT製品/サービスを求めている。University of Staffordshireには約1万7000人の学生が在籍している。
中編は、University of Staffordshire がRPAを導入したことで起きた変化を解説する。
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