英国NHSのデジタルヘルスケアサービスが、新型コロナウイルス感染症のまん延をきっかけに広く普及している。NHSのさまざまなヘルスケアサービスの窓口となる「NHS login」を、英国民はどの程度活用しているのか。
NHS Digitalが2021年10月25日(現地時間、以下同じ)に発表したデータによると、英国でデジタルヘルスケアサービスの利用が広がっている。NHS Digitalは英国の国民保健サービス(NHS:National Health Service)において、ビッグデータなどのIT活用の司令塔となる組織だ。
英国では2021年10月時点で約2800万人の成人(18歳以上)が「NHS login」のユーザー登録をしている。これは約5300万人いる英国成人の半数以上に相当する。
NHS loginはNHSが提供する複数のデジタルヘルスケアサービスを横断的に利用するための認証用システムだ。医療機関の受診予約をしたり、健康記録を確認したりするための公式アプリケーション「NHS App」を筆頭に、母子保健サービスやオンライン薬局サービスなど、NHS login経由で45件のデジタルヘルスケアサービスにアクセスできる。NHS Digitalのデータによれば、2021年10月25日時点のNHS App登録ユーザーは1600万人以上に及ぶ。
2020年9月時点のNHS login登録者数は約220万人だったという。ユーザー数急増の背景には、NHSが2021年5月17日にリリースした新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種証明サービス「NHS COVID Pass」の存在がある。NHS COVID Passが登場して以来、その利用申請に使えるNHS Appのユーザー登録が急増し、2021年5月から10月までの間に1200万人以上の新規ユーザーが加わった。
2020年以降、NHSはヘルスケアサービスをオンラインで利用できるようにする体制を「大幅に前進させた」と、NHSX(NHSのデジタル推進部門)でデジタルエクスペリエンスの担当ディレクターを務めるエマ・マクラクラン氏は説明する。NHSはNHS loginを通じて、英国民が選択肢、情報、ヘルスケアサービスに直接アクセスして、健康維持に活用してもらえるようにした。
NHS Digitalによると、2021年8月時点におけるNHS loginのユーザー登録者はロンドン市民が最も多く、全ユーザーの20.3%を占めていた。2021年10月のデータによると、ロンドンでは30〜39歳、英国全土では20〜29歳がNHS loginのメインユーザーになっていたという。マクラクラン氏は「英国民にアプリケーションのダウンロードを奨励している」と前置きしつつ、「NHS loginやNHS Appを利用できない人、または利用を望まない人のために、代替手段も必ず提供する」と話す。
NHS Appを使用してかかりつけ医(GP:General Practitioner)の診療予約をした件数は、2021年5月〜8月の間で26万8063件だった。NHS Appを使用して臓器提供に関する意思表示を初めて登録したユーザーは、2021年5月〜8月の間で15万人以上いたという。同期間(2021年5月〜8月)にリフィル処方箋(一定期間に繰り返し、同じ薬を再注文できる処方箋)を使った薬の注文は約320万件あった。
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