「RPA」導入により校務効率化を進めるスタッフォードシャー大学。同校のIT幹部は、パンデミックにおける混乱にどう向き合ったのか。今後ITをどう活用しようとしているのか。
中編「『RPA』は効率化にも『DX』にも役立つ――大学IT幹部が断言」は、英国のUniversity of Staffordshire(スタッフォードシャー大学)が「RPA」(ロボティックプロセスオートメーション)の導入により、どのような変化を起こしたのかを紹介した。後編は、同校の最高デジタル責任者(CDO)であるアンドリュー・プロクター氏に、IT活用に関する考え方を聞く。
英国では2020年、同国の大学入学資格「Advanced Level General Certification of Education」(GCE A Level)試験が中止になった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)の影響だ。その後、英国の資格・試験監督機関Ofqual(Office of Qualifications and Examinations Regulation)が導入した成績評価アルゴリズムを代替策として使用した。
成績評価アルゴリズムによる学習者の成績評価には矛盾や偏りがあることが分かり、各大学は混乱の収拾に追われた。成績評価アルゴリズムによる評価の発表後、同国政府は方針を180度転換してその評価を撤回し、教員による予想成績に基づいて大学の合否を決めることにした。
成績評価方法の混乱が起きた時点で校務自動化を導入していたら、University of Staffordshireは「もっと容易にこの問題に対処できた」とプロクター氏は話す。同校は当時、試験関連の校務に自動化を取り入れるのは「あまりにもリスクが高いと判断した」と同氏は説明する。
校務自動化は、University of Staffordshireにとって広範なデジタル戦略の一部にすぎない。「ITに関して言えば、小さな村を運営しているようなものだ」とプロクター氏は説明する。例えば同校のキャンパスには店舗、体育館、教育施設、オフィスがある。IT部門は、こうした校内全ての施設に無線LANとテクニカルサポートを提供する。
別プロジェクトとしてUniversity of Staffordshireは、「Beacon」という名称の学生向けアプリケーションの開発を進めている。Beaconは、学生生活に必要な情報を提供するデジタルアシスタントアプリケーションだ。同校は、人工知能(AI)技術とMicrosoftのクラウドサービス群「Microsoft Azure」を活用してBeaconを開発。スマートフォンアプリケーションとデスクトップアプリケーションの形式で学生に提供する。「Beaconを学生に提供することで、学生の日々の活動を支援し、学生生活の体験価値を最大限に高めたい」とプロクター氏は説明する。
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