いにしえから現代まで受け継がれた、もはや「レジェンド」なSNSの機能とはSNSの栄枯盛衰を振り返る【第1回】

個人的なコミュニケーションからビジネスまで、ソーシャルメディアはなくてはならない存在になりつつある。歴史をひもときながら、社会生活を彩るソーシャルメディアの役割を振り返る。

2024年02月15日 05時00分 公開
[Madeleine StreetsTechTarget]

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 人類は太古の昔から、コミュニケーションの方法を模索してきた。うなり声や洞窟に書かれた絵、現代であればメールやチャットだ。SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)はその流れの一端を担う。

 SNSはわずかな時間でコミュニケーションの在り方に革命をもたらした。調査機関Pew Research Centerが2015年10月に公開した調査レポート「Social Media Usage:2005-2015」によると、主要なSNSを利用する米国の成人は2005年時点で7%だったが、2015年までに65%に増加した。同機関が2021年4月に公開した調査レポート「Social Media Use in 2021」では72%にまで増加していた。

 本連載は、SNSの役割や主要サービスの栄枯盛衰を振り返るとともに、SNSの未来を考察する。

われわれはなぜ、SNSに引き寄せられるのか?

 SNSは、コンテンツの共有やユーザー同士の交流、ある特定の枠組みの中でメッセージを交換するWebサイトやサービスを指す。ほとんどのSNSでは動画や画像などのコンテンツをアップロードできるようになっており、ユーザー同士のつながりと交流を促進する。

 住所や電話番号といった個人情報を知らなくても、旧友を見つけ出したり、気の合う新しい友達を作ったりできるのがSNSの強みだ。地球の裏側にいる相手に一瞬でメッセージを送ったり、同じ動画を一緒に楽しんだりすることもできる。

 ユーザー間でやりとりする内容は、SNSの目的に応じてさまざまだ。例えばビジネス向けSNS「LinkedIn」は、キャリアアップやビジネス上のつながりを構築するのに役立つ。画像の共有に主軸を置く「Instagram」や、特定のユーザー属性に特化したSNSもある。

 SNSは動画のライブ配信や、小売りのデジタル化(デジタルリテール)といった新たな情報伝達の方法を生み出してきた。SNSを利用して、ファンやサポーターとの間で親密なコミュニケーションを取ろうとする有名人もいる。

 SNSの定義はその進化に伴って変化する可能性がある。だが、ユーザー参加型の媒体であるという要素は不変だろう。

SNSの先駆けとなった“あのサービス”

 SNSは2003年以降、大きく普及した。2003年以前にはSNSの先駆けとなったサービスが幾つか存在した。インターネットを早くから使い始めた人々は、インターネットがコミュニケーションと親和性が高いことにすぐに気付いた。まず登場したのは、ニュースを公開したり情報交換したりすることを目的とした「電子掲示板」(BBS:Bulletin Board System)だ。複数ユーザーが同時に遊べるゲームを提供するBBS、ダイレクトメッセージの送信やチャットルーム機能を持つBBSなども現れた。

 例えば1984年にProdigy Communicationsが開設したポータルサイトは、ニュースや天気予報、掲示板、株式、旅行といったコンテンツを提供し、瞬く間にユーザーを集めた。

 1992年に登場したAmerica Online(AOLの名称で事業展開)のポータルサイトと、2001年に登場したCompuServeのポータルサイトも人気を博し、Prodigy Communications、AOL、CompuServeはユーザー数の大きさから「Big 3」と呼ばれた。しかし、手頃な価格のダイヤルアップ接続インターネットサービスや、新しいタイプのWebブラウザが登場したことで、どのサービスも次第に利用者が減少した。

 インターネットを通じて複数ユーザーがリアルタイムにテキストメッセージをやりとりできる「IRC」(Internet Relay Chat)は、SNSの先駆けの一つといえる。現在でもIRCネットワークの「Libera Chat」や「OFTC」などでこの仕組みが生き残っている。

 1997年にはAOLがインスタントメッセンジャー「AOL Instant Messenger」の提供を開始した。続けて1998年にYahooから「Yahoo! Messenger」が、1999年にはMicrosoftから「MSN Messenger」が登場した。

初期のSNS

 SNS前夜ともいえるサービスの登場を経て、SNSの真の夜明けが訪れた。1997年に「SixDegrees.com」が開設(2001年に閉鎖)。このサービスは「6次の隔たり(Six Degrees of Separations)」理論に基づく。つまり、ある人と人とは5人程度の仲介者によって間接的につながっている。その仲介者を6人たどれば、全世界中の人と連絡が取れるという考えだ。ユーザーが自分の連絡先をアップロードすると、自分の知り合いとそのさらに知り合いの連絡先というように自分のフレンドリストに載っていないユーザーにもメッセージを送ることができたという。

 1999年に開設した「LiveJournal」は、「自分の記録を残す」というSNSの役割を開拓したWebサイトだ。日記や記事を投稿し、友人やコミュニティーと共有できるようになっている。他のユーザーを「フレンド」としてリストアップでき、「Facebook」のように相互フォローしなくてもよい。これは、Instagramや単文投稿サイト「X」(旧Twitter)で他のユーザーをフォローするのに似ている。投稿にはコメント欄があり、ユーザー間のコミュニケーションを促す役割を果たしている。

 2002年に登場した「Friendster」は現代のSNSに近いサービスの一つで、テキストや画像を投稿できるようになっていた。開設から半年で300万人規模の会員を獲得するほどの人気を博したが、その後閉鎖した。

 2003年には「MySpace」が登場。世界最大級のSNSの一つであり、一説によると2008年にユーザー数1億1500万人を記録したという。MySpaceの強みは音楽に関する機能だ。ユーザーのプロフィールに音楽ファイルやYouTubeの動画をひも付けられる。この機能は、新しい音楽を見つけられるという点でInstagramやショート動画共有サービス「TikTok」の先駆けとなる存在だ。

 「Habbo」「hi5」「Bebo」など、2000年代に開設した他のSNSも人気を集めた。しかしいずれもFacebookほどの支持を集めるには至っていない。


 第2回は、近年で特に人気を集めているSNSの特徴を紹介する。

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