SNSの栄枯盛衰を振り返る【第1回】
いにしえから現代まで受け継がれた、もはや「レジェンド」なSNSの機能とは
個人的なコミュニケーションからビジネスまで、ソーシャルメディアはなくてはならない存在になりつつある。歴史をひもときながら、社会生活を彩るソーシャルメディアの役割を振り返る。
人類は太古の昔から、コミュニケーションの方法を模索してきた。うなり声や洞窟に書かれた絵、現代であればメールやチャットだ。SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)はその流れの一端を担う。
SNSはわずかな時間でコミュニケーションの在り方に革命をもたらした。調査機関Pew Research Centerが2015年10月に公開した調査レポート「Social Media Usage:2005-2015」によると、主要なSNSを利用する米国の成人は2005年時点で7%だったが、2015年までに65%に増加した。同機関が2021年4月に公開した調査レポート「Social Media Use in 2021」では72%にまで増加していた。
本連載は、SNSの役割や主要サービスの栄枯盛衰を振り返るとともに、SNSの未来を考察する。
われわれはなぜ、SNSに引き寄せられるのか?
併せて読みたいお薦め記事
SNSの選択肢を増やす
SNSは、コンテンツの共有やユーザー同士の交流、ある特定の枠組みの中でメッセージを交換するWebサイトやサービスを指す。ほとんどのSNSでは動画や画像などのコンテンツをアップロードできるようになっており、ユーザー同士のつながりと交流を促進する。
住所や電話番号といった個人情報を知らなくても、旧友を見つけ出したり、気の合う新しい友達を作ったりできるのがSNSの強みだ。地球の裏側にいる相手に一瞬でメッセージを送ったり、同じ動画を一緒に楽しんだりすることもできる。
ユーザー間でやりとりする内容は、SNSの目的に応じてさまざまだ。例えばビジネス向けSNS「LinkedIn」は、キャリアアップやビジネス上のつながりを構築するのに役立つ。画像の共有に主軸を置く「Instagram」や、特定のユーザー属性に特化したSNSもある。
SNSは動画のライブ配信や、小売りのデジタル化(デジタルリテール)といった新たな情報伝達の方法を生み出してきた。SNSを利用して、ファンやサポーターとの間で親密なコミュニケーションを取ろうとする有名人もいる。
SNSの定義はその進化に伴って変化する可能性がある。だが、ユーザー参加型の媒体であるという要素は不変だろう。
SNSの先駆けとなった“あのサービス”
SNSは2003年以降、大きく普及した。2003年以前にはSNSの先駆けとなったサービスが幾つか存在した。インターネットを早くから使い始めた人々は、インターネットがコミュニケーションと親和性が高いことにすぐに気付いた。まず登場したのは、ニュースを公開したり情報交換したりすることを目的とした「電子掲示板」(BBS:Bulletin Board System)だ。複数ユーザーが同時に遊べるゲームを提供するBBS、ダイレクトメッセージの送信やチャットルーム機能を持つBBSなども現れた。
例えば1984年にProdigy Communicationsが開設したポータルサイトは、ニュースや天気予報、掲示板、株式、旅行といったコンテンツを提供し、瞬く間にユーザーを集めた。
1992年に登場したAmerica Online(AOLの名称で事業展開)のポータルサイトと、2001年に登場したCompuServeのポータルサイトも人気を博し、Prodigy Communications、AOL、CompuServeはユーザー数の大きさから「Big 3」と呼ばれた。しかし、手頃な価格のダイヤルアップ接続インターネットサービスや、新しいタイプのWebブラウザが登場したことで、どのサービスも次第に利用者が減少した。
インターネットを通じて複数ユーザーがリアルタイムにテキストメッセージをやりとりできる「IRC」(Internet Relay Chat)は、SNSの先駆けの一つといえる。現在でもIRCネットワークの「Libera Chat」や「OFTC」などでこの仕組みが生き残っている。
1997年にはAOLがインスタントメッセンジャー「AOL Instant Messenger」の提供を開始した。続けて1998年にYahooから「Yahoo! Messenger」が、1999年にはMicrosoftから「MSN Messenger」が登場した。
初期のSNS
SNS前夜ともいえるサービスの登場を経て、SNSの真の夜明けが訪れた。1997年に「SixDegrees.com」が開設(2001年に閉鎖)。このサービスは「6次の隔たり(Six Degrees of Separations)」理論に基づく。つまり、ある人と人とは5人程度の仲介者によって間接的につながっている。その仲介者を6人たどれば、全世界中の人と連絡が取れるという考えだ。ユーザーが自分の連絡先をアップロードすると、自分の知り合いとそのさらに知り合いの連絡先というように自分のフレンドリストに載っていないユーザーにもメッセージを送ることができたという。
1999年に開設した「LiveJournal」は、「自分の記録を残す」というSNSの役割を開拓したWebサイトだ。日記や記事を投稿し、友人やコミュニティーと共有できるようになっている。他のユーザーを「フレンド」としてリストアップでき、「Facebook」のように相互フォローしなくてもよい。これは、Instagramや単文投稿サイト「X」(旧Twitter)で他のユーザーをフォローするのに似ている。投稿にはコメント欄があり、ユーザー間のコミュニケーションを促す役割を果たしている。
2002年に登場した「Friendster」は現代のSNSに近いサービスの一つで、テキストや画像を投稿できるようになっていた。開設から半年で300万人規模の会員を獲得するほどの人気を博したが、その後閉鎖した。
2003年には「MySpace」が登場。世界最大級のSNSの一つであり、一説によると2008年にユーザー数1億1500万人を記録したという。MySpaceの強みは音楽に関する機能だ。ユーザーのプロフィールに音楽ファイルやYouTubeの動画をひも付けられる。この機能は、新しい音楽を見つけられるという点でInstagramやショート動画共有サービス「TikTok」の先駆けとなる存在だ。
「Habbo」「hi5」「Bebo」など、2000年代に開設した他のSNSも人気を集めた。しかしいずれもFacebookほどの支持を集めるには至っていない。
第2回は、近年で特に人気を集めているSNSの特徴を紹介する。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[株式会社マクニカ] アイカ工業に学ぶ脆弱性対策 情シスが把握できずにいたアセットも正確に把握 -
製品資料
[株式会社マクニカ] 「脆弱性総まとめ」解説 被害事例から考える必須の対策ポイント -
製品資料
[Splunk Services Japan合同会社] サイバー脅威「トップ50」完全解説ガイド、新たな攻撃手法に対抗するには -
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」完全ガイドブック:メリットから資格取得のポイントまで -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] はじめての「自治体/官公庁入札」 必要な知識がすぐに学べる入門ガイド
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
2
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
3
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
4
AI基盤は本当に「オンプレ回帰」する? Broadcomの言い分と企業の本音
-
5
「技術屋」で終わらないために 情シスが今取るべき認定資格5選
-
6
「世界一給与にハングリー」な日本のエンジニアが“雇用の安定”を求める理由
-
7
「Linuxサーバの長期運用とRed Hat Enterprise Linux」に関するアンケート
-
8
「IoT通信環境の構築・運用」に関するアンケート
-
9
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
10
ISMSの“コンサル丸投げ”が招く数千万円の無駄 NTTドコモビジネスの脱出劇
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
7
PostgreSQLの「機能」「性能」「運用」「拡張性」に関する悩みの解消法
-
8
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
9
Macの安全神話は崩壊? 最新の脅威動向から見えた攻撃のトレンドと有効な対策
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー