CPUによる計算処理に欠かせないパーツが「メモリ」だ。高速な計算処理をメモリはどう支えているのか。ストレージとの違いを含めて押さえておこう。
「メモリ」(主記憶装置)は、コンピュータの構造においてCPU(中央演算処理装置)やストレージ(補助記憶装置)と共に中心的な役割を担うパーツだ。CPUの動作にメモリは欠かせない。
コンピュータはなぜ、複雑な計算処理を次から次にこなすことができるのか――。メモリを中心とする仕組みを知ると、計算処理がどのように動いているのかを理解しやすくなる。ストレージとの違いも踏まえてメモリとは何かを押さえておこう。
コンピュータでプログラムを起動すると、プログラムは「SSD」や「HDD」といったストレージから、「RAM」(Random Access Memory)に速やかに移動する。RAMはメモリ(メインメモリとも呼ばれる)のことだ。RAMには、電源を失うとデータが消失する特性がある。
ストレージは“永続的な保管庫”であり、メモリは“作業場”だと考えると分かりやすい。ストレージからメモリにプログラムが移動することは、例えるなら、建築家が倉庫から建築資材や道具を取り出し、バインダーからは必要な図面を抜き出し、それらを作業現場で使うようなものだ。
メモリは、以下の2つの要素によってデータを記録する。
メモリのこうしたデータに対し、CPUはナノ秒(1秒の10億分の1)の単位でアクセスする。ほとんどのコンピュータでは、メモリにおけるデータ格納の基本単位として「バイト」(Byte)が使われている。押さえておくとよい特性は次の点だ。
CPUがメモリのデータにアクセスする時間が短縮するほど、計算処理は速くなりやすい。先ほどの建築家の例で言えば、建築家は図面をより速く参照したり、道具をより速く手にしたりできることで、建築の作業ははかどるようになる。
プログラムが閉じられると、そのプログラムのために使われていたメモリのスペースはOSによって解放され、再び構成される。建築家の例で言えば、使用していた図面をバインダーに閉じ込み、道具や建築資材を倉庫にしまうことで次の作業のためのスペースを十分に確保する、といったところだ。
次回は、メモリの種類やデータ型(データの種類)について解説する。
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