仮想デスクトップとそれを利用するためのシンクライアントデバイスを適切に運用管理するには、専用の「シンクライアントOS」が役に立つ。どのようなメリットがあるのか。
シンクライアントデバイスは仮想デスクトップに接続するためのデバイスとして広く普及している。シンクライアントデバイス用のOS(シンクライアントOS)は、PC用のOSとは異なり、仮想デスクトップの利用や運用管理を快適にするためのさまざまな機能を備える。シンクライアントOSは、シンクライアントデバイスの運用を含む仮想デスクトップ管理にどう役立つのか。
シンクライアントOSに備わるリソースの最適化や処理の中央集権化、セキュリティ強化といった仕組みが、仮想デスクトップの動作を支えている。
PC用のOSと比べてシンクライアントOSはCPU、メモリ、ストレージといったリソースの要求量が少ない。そのため、ある程度の性能があるマシンであれば、サーバやクラウドサービス内の仮想デスクトップに接続できる。型落ちしたデバイスにシンクライアントOSをインストールして、シンクライアントデバイスとして再利用することで、デバイスの長寿命化を図れる。仮想デスクトップでは、演算処理の大部分をシンクライアントOSではなくホストサーバが担うので、クライアントデバイスのハードウェアに掛かる負荷を抑えながら、デスクトップの処理速度を保つことが可能だ。
ネットワーク負荷を抑えることができる点もメリットだ。シンクライアントOSはネットワーク帯域の使用を最小化し、効率的なプロトコルを使用してデータ伝送を最適化する。これによって、ネットワークの混雑を緩和する。
シンクライアントデバイスを中央で一元管理できるというメリットもある。複数のデバイスにわたる設定、アプリケーション、セキュリティ対策を一元管理できるので、IT管理者の手間の削減につながる。
シンクライアントデバイスの一元管理がもたらすメリットは以下の通りだ。
IT管理者は、管理下にある全てのシンクライアントデバイスで一貫したポリシーとコンプライアンス対策を実施可能だ。これらはデータの保護やアクセス制限、規制の順守の確保につながる。
全てのシンクライアントデバイスに一貫したポリシーを施行できると、IT管理者は全てのシンクライアントデバイスにソフトウェアの配布や更新、パッチ(修正プログラム)適用といった操作を一斉に実行できるようになる。これによって、ソフトウェアの一貫性とセキュリティを保つことが可能だ。
中央集権的な管理は、クライアントデバイスとデータのセキュリティを強化する。IT部門がユーザーアクセス制御、暗号化、マルウェア対策、ファイアウォールといったセキュリティ対策を中央で一元管理することで、全シンクライアントデバイスにわたってセキュリティを確保できる。
一元管理ツールを使うと、シンクライアントデバイスをリアルタイムで監視可能だ。リモートでの監視は、IT管理者がリモートでクライアントデバイスの問題を特定、解消する助けになる。リモートでクライアントデバイスを制御できる機能があれば、IT管理者は従業員に技術的なサポートがしやすくなる。
シンクライアントデバイスの資産追跡と在庫管理が可能な点もメリットだ。IT管理者は単一の管理画面で、ハードウェアの仕様やクライアントデバイスの状態、使用情報を監視できるようになる。
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