テープストレージは決して“終わったストレージ技術”ではない。根強い需要があり、新製品や新技術が登場している。テープには、コスト以外にもさまざまなメリットがある。デメリットと共に紹介しよう。
富士フイルムの欧州法人FUJIFILM Europeが、2024年夏に中堅・中小企業向けにテープ規格「LTO」(リニアテープオープン)のテープストレージ新製品を投入する計画を発表するなど、「古いストレージ技術」だと見なされる傾向にあるテープは健在だ。
テープのメリットとして、まず大量のデータを保存する際のコストを抑制しやすいことが挙げられるが、それだけではない。HDDと比べた場合のテープのメリット5つと、注意が必要なデメリットを1つ紹介する。
HDDなど他のストレージタイプと比較した場合の、テープのメリットは以下の通りだ。
テープの寿命は約30年になると推定されている。それに対してHDDの寿命は約5年となる。長く使うだけ、テープはよりコスト効率の良いストレージになる。
テープはデータの読み書きの際にしか電力を消費しない。常に通電しておくことが基本のHDDに比べて、データの保存や利用に必要な消費電力量を抑制しやすい。よりエネルギー効率が良いとも言える。結果的にコストメリットにもつながる。
技術標準化機関IEEE(米国電気電子技術者協会)の見方では、テープの1TB当たりの年間二酸化炭素(CO2)排出量はわずか0.07kgだ。それに対してHDDは約2.55kgとなる。
テープは本番システムのネットワークから物理的に切り離すことが基本になるため、攻撃の影響を受けにくい。LTOの第9世代「LTO-9」はデータ暗号化機能を備える。
IEEEの見方では、100PBのデータを10年間保存する場合、全てのデータをHDDに保存すれば、電子廃棄物は7.4トンとなる。一方でデータの60%をテープに保存すると、電子廃棄物は約半分の3.6トンにとどまる。
テープには弱点もある。一番大きいと考えられるのは、データへのアクセスに時間が必要なことだ。HDDの場合は全てのデータにほとんど瞬時にアクセスできる。テープは、データ読み出しの開始位置や書き込みの開始位置を磁気ヘッドに合わせるのに時間を要する。データにアクセスするのに数分かかることが一般的だ。
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