「有能なクラウドエンジニア」が育つ方法とは? やってはいけない育成方法も人への投資は企業への投資

人材への投資は企業への投資でもある。特に変化の激しいITの分野において、新技術を積極的に活用するには人材への投資が不可欠だ。どうすれば有能なクラウドエンジニアが育つのか。

2024年07月22日 07時00分 公開
[Brian KirschTechTarget]

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 IT部門およびクラウドチームのスキルアップは、いまや企業の経営に影響を及ぼすほど重要な課題の一つだ。IT業界の技術は変化が激しく、複数のクラウドサービスを利用する「マルチクラウド」戦略や人工知能(AI)技術の導入を進める中で、変化のスピードに付いていけるかどうかは企業の生産性に直結する。

 従業員のスキルアップを図る方法としては、ベンダー主催のトレーニングに参加する方法がある。ただし、それだけでは不十分だ。どうすれば有能なクラウドエンジニアは育つのか。

「有能なクラウドエンジニア」が育つ方法はこれだ

 従業員が新しい技術に習熟するために、企業は、従業員がトレーニングを受けるための予算と時間を提供する必要がある。従業員にトレーニングの機会を与えることに対する反対意見として、従業員がトレーニングを受けた後に転職してしまうというものがある。しかし、従業員がスキルに釣り合う報酬を受け取っていれば、転職の心配はあまりしなくてよい。人事の世界ではトレーニングが従業員の定着率と士気の向上につながることは、既に常識となっている。

 企業はトレーニングの効果を信じる必要がある。初心者レベルの人材でも、数カ月でクラウドインフラの管理業務を任せられる人材へと成長できることを覚えておくべきだ。こうした成長の実例を知れば、従業員の意欲は増す。トレーニングを提供するための予算と時間を確保することは企業にとって容易ではないが、従業員と企業の両方にポジティブな影響を与えることを認識する必要がある。

 トレーニングを“従業員任せ”にしてはいけない。経営陣が主導権を握り、従業員の意見を聞くようにしよう。従業員がトレーニングへの支援を要求して、経営陣がコストや時間を理由に拒否した場合、従業員の士気が下がる可能性がある。経営陣が予算と時間を初めから提供すれば、従業員は自身の成長を企業が促進しようとしてくれていると理解する。トレーニングの予算には講義費用だけでなく学習教材や認定試験の費用も含めておくべきだ。

 IT人材への投資には、新技術を導入することに劣らない、あるいはそれ以上の効果が期待できる。例えば、マルチクラウド戦略のトレーニングを受けた従業員は企業のITインフラ運用戦略を改善して、コスト削減に貢献する可能性がある。特に、AI技術をはじめとした新技術の運用方法は、あらゆる規模の企業において効率化に役立つと考えられる。

 仮に従業員が適切なトレーニングを受けられていない場合、自己流で新技術に触れてしまう可能性がある。これはほとんどの場合でうまくいかない。新技術の導入が運用の属人化につながる懸念もある。

 セキュリティは専門のチームだけでなく、全従業員にとって重要だ。全員がセキュリティのトレーニングを受けて、セキュリティに関心を持つようになれば、過剰にセキュリティ対策ツールを導入しなくともITインフラの安全を維持しやすくなる。

 新しい技術を導入する際、必ずしも新たな従業員を雇用する必要はない。既存の従業員がその新技術に積極的に関心を持ち、企業がそれを支援すれば、自ずと新技術を導入できる見通しが立つはずだ。新たに人材を採用するのが悪いわけではないが、外部の人材コンサルタントが企業の内部動向と新技術まで深く理解しているとは限らない。それに対して社内の事情をよく知る従業員は、新技術をどのように活用すれば企業を成長させ、次のレベルに進めるのかを理解している。

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