CASBやZTNAをうたう「なんちゃってSASE」に要注意 選定のこつは?SASEに付きまとう誤解【後編】

SASEの製品が多様化したことで、SASEに関する誤解が生まれやすくなっている。SASE導入で失敗しないために、注意しなければならないこととは何か。

2024年08月14日 07時00分 公開
[David WeldonTechTarget]

 「SASE」(セキュアアクセスサービスエッジ)とは、ネットワークとセキュリティの機能を集約して提供する概念や、その仕組みのことだ。クラウドサービスの利用が広がる中でSASEのさまざまな製品が登場し、SASEに関して誤解が生じやすくなっている。「SASEを導入したものの期待通りの効果を得られなかった」といった事態に陥らないために、SASEを検討する際の注意点を押さえておこう。

こんな“なんちゃってSASE”には要注意

 さまざまなベンダーが「SASE」をうたうセキュリティ製品やネットワーク製品を提案する中で、SASEの定義や他の製品分野との境界線が曖昧になりつつある。調査会社AvidThink創設者兼プリンシパルのロイ・チュア氏によると、ベンダーによっては製品の機能について誇張するケースがあるので、注意が必要だ。

 ベンダーは「CASB」(Cloud Access Security Broker)や「ZTNA」(Zero Trust Network Access)といった機能があるとアピールするが、よく見ると最低限の機能しか備えていない場合があるとチュア氏は注意を促す。「SASEの導入を検討している企業は、ベンダーの売り文句を信じ過ぎず、その製品によって実際に何ができるのかを冷静に確認した方がいい」(同氏)

 SASEの導入に当たってのハードルは、社内に存在することもある。その一つが、ネットワーク担当とセキュリティ担当のチームが分かれており、組織が縦割りになっていることだ。ネットワーク担当とセキュリティ担当がそれぞれ異なる意思決定を下すと、SASEの導入がスムーズに進まなくなることがある。「導入の決断や製品選定、実際の導入作業に当たっては、担当領域の垣根をなくして組織横断的に取り組まなければならい」(チュア氏)

 SASE導入の準備を進める際のポイントとして、チュア氏は以下の3点を挙げる。

  • ネットワークとセキュリティについて自組織のニーズを正確に把握する
  • 現状のシステムの「解決すべき点」を明確にする
  • SASEベンダーに問題解決に関する分かりやすい提案を求める

 「時間的な制約や専門知識の不足のために自社だけではSASE導入を進められない場合は、一緒に作業してくれる信頼できるパートナー企業を見つけることが欠かせない」とチュア氏は言う。

 SASEの市場は急速に進化しているため、「いつどのようにして適切なベンダーを見つければよいのかを判断するのが簡単ではなくなっている」とコーエン氏は指摘する。SASE導入で失敗しないためには、一度俎上(そじょう)に乗せた製品であっても、自社のニーズに合わないことが分かった場合は、思い切って他のベンダーに提案を依頼し直すことも選択肢の一つになる。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

製品資料 フォーティネットジャパン合同会社

クラウドに必要な「データドリブンなセキュリティ」を実現する方法とは?

クラウド利用が当たり前となった今日、セキュリティ対策もまたクラウド環境に適したものでなくてはならない。とはいえ、大量のデータポイントが生成されるクラウド領域にあって、その全てのポイントを網羅するのは並大抵のことではない。

製品資料 TIS株式会社

Web攻撃総数の2割以上が狙うAPI、適切な管理とセキュリティ対策を行うには?

ビジネスでのAPI利用が進むにつれ、そのAPIを標的としたサイバー攻撃も増加している。それらに対抗するためには、「シャドーAPI」や「ゾンビAPI」を洗い出し、セキュリティ対策を徹底する必要がある。その正しい進め方を解説する。

製品資料 Okta Japan株式会社

アイデンティティー管理/保護の注目手法、「IGA」とは何か?

ある調査で企業の61%がセキュリティ優先事項のトップ3に挙げるほど、重要度が高まっているアイデンティティー管理・保護。その中で昨今注目されているのが「IGA」というアプローチだ。そのメリットや、導入方法を解説する。

製品資料 株式会社エーアイセキュリティラボ

AIで人材不足を解消、セキュリティ担当者のためのDXガイド

DX推進によってさまざまなビジネスシーンでデジタル化が加速しているが、そこで悩みの種となるのがセキュリティの担保だ。リソースやコストの制限も考慮しながら、DXとセキュリティを両輪で進めるには何が必要になるのか。

製品資料 パロアルトネットワークス株式会社

セキュリティ運用を最適化し、SOCの負担を軽減する「SOAR」とは?

サイバー攻撃が巧妙化し、セキュリティチームとSOCは常に厳戒態勢を取り続けている。さらにデジタルフットプリントの拡大に伴い、セキュリティデータが絶え間なく往来する事態が生じている。このような状況に対応するには、SOARが有効だ。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

繧「繧ッ繧サ繧ケ繝ゥ繝ウ繧ュ繝ウ繧ー

2025/04/25 UPDATE

  1. 譌・譛ャ縺ァ繧ょッセ遲悶′驕�l繧九€後≠縺ョ萓オ蜈・邨瑚キッ縲阪′諤・蠅冷€補€墓判謦�げ繝ォ繝シ繝励�豢サ蜍募ョ滓�
  2. 繝ゥ繝ウ繧オ繝�繧ヲ繧ァ繧「謾サ謦��窶懷庶逶岩€昴′30��ク帙€€遞シ縺偵↑縺上↑縺」縺溽官鄂ェ閠��隱、邂�
  3. Acronis縲√そ繧ー繧ィ繧サ繧ュ繝・繝ェ繝�ぅ繧樽SSP縺ォ隱榊ョ壹€€窶應セ。譬シ遶カ莠牙鴨窶昴〒荵励j謠帙∴菫�☆
  4. 縲窟pp Store縲阪d縲隈oogle Play縲阪〒窶懷些髯コ縺ェ繧「繝励Μ窶昴r隕区・オ繧√k譁ケ豕�
  5. 繝ゥ繝ウ繧オ繝�繧ヲ繧ァ繧「髮�屮Black Basta縺ョ莨夊ゥア縺梧オ∝�縲€譏弱i縺九↓縺ェ縺」縺滓判謦�€��窶懈悽髻ウ窶�
  6. 縲瑚コォ莉」驥代r謾ッ謇輔≧縲堺サ・螟悶�繝ゥ繝ウ繧オ繝�繧ヲ繧ァ繧「蟇セ遲悶�譛ャ蠖薙↓縺ゅk縺ョ縺具シ�
  7. DeepSeek縺ョ逕滓�AI縺ォ繧サ繧ュ繝・繝ェ繝�ぅ蟆る摩螳カ縺娯€懃オカ譛帙@縺溪€晉炊逕ア
  8. 蠕捺・ュ蜩。縺ォ繧医k繝��繧ソ豬∝�縲√◎縺ョ蟇セ遲悶〒螟ァ荳亥、ォ�溘€€蜀�Κ閼�ィ√�縺薙≧髦イ縺�
  9. 縲窟I PC縲阪′驥阪>繧ィ繝ウ繝峨�繧、繝ウ繝医そ繧ュ繝・繝ェ繝�ぅ繧定サス縺上☆繧具シ溘€€ESET縺ョ謖第姶
  10. 繝��繧ソ縺梧シ上∴縺�@縺溘i縲∽シ∵・ュ縺ッ縺ゥ繧後□縺第錐繧偵☆繧具シ溘€€IBM隱ソ譟サ縺ァ蛻、譏�

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...