コスト削減に期待し過ぎては駄目? 「SD-WAN」の失敗しない選び方とはSD-WAN選定のための5つのポイント【後編】

SD-WANを利用することでネットワークの運用効率化やコスト削減の効果が見込める。SD-WAN製品を選定する際は、どのような視点で評価すればよいのか。

2024年08月14日 08時15分 公開
[Robert SturtTechTarget]

 SD-WAN(ソフトウェア定義型WAN)を利用することで、ネットワークの運用効率化やコスト削減の効果が見込める。SD-WANを導入する際はどのような観点で製品を選べばいいのか。SD-WAN選定に関する5個のポイントのうち、3〜5個目を紹介する。

3.クラウド接続

 さまざまなSD-WAN製品が、Amazon Web Services(AWS)の同名サービスやGoogleの「Google Cloud」、Microsoftの「Microsoft Azure」といったクラウドサービス群への接続を最適化する機能を備えている。その機能は、3つに分類できる。自社にとって望ましい機能はどれなのかを確認する必要がある。

  • 一部のクラウドサービスへのアクセス制御機能がアーキテクチャに組み込まれており、拠点からクラウドサービスまで専用線でアクセスできる
  • 拠点からインターネット接続を利用してSD-WANベンダーが提供するゲートウェイを経由してからクラウドサービスにアクセスする
  • クラウドサービスへのアクセス制御機能はあるが、ユーザー企業がネットワークの経路設定や、クラウドインフラに仮想アプライアンスを配備するといった準備が必要になる

4.コスト削減の効果

 スイッチング(トラフィックの中継と転送)技術である「MPLS」(マルチプロトコルレベルスイッチング)による閉域網から、SD-WANとインターネット回線を組み合わせたネットワークに移行することで、回線費用を削減できる可能性がある。ただしSD-WANの導入成果は、数字では測れないことがある。例えば、エンドユーザーによるアプリケーションへのアクセスが速くなることで費用を削減できるわけではないが、ビジネスへのプラスの効果はある。

 近年のSD-WAN製品はセキュリティ機能やクラウドサービスへの効率的なアクセス制御機能をアプライアンスに組み込んでいる。その機能を使ってこなかったユーザー企業にとっては、個々の機能を別々に導入するよりもSD-WAN製品でまとめて導入する方がコスト削減になる場合がある。SD-WANの管理画面から複数の機能をまとめて管理できれば、IT部門の運用負担の軽減につながる。

5.運用管理

 SD-WANの運用サービスを利用する場合は、契約の範囲外の技術についても理解があるサービス事業者を採用することが望ましい。担当範囲以外の技術について理解していないサービス事業者を採用するとデータや運用の連携が難しくなり、あらゆる処理に時間がかかる。反対に幅広い技術について理解しているサービス事業者は、あらゆる状況でWANの管理を支援してくれるはずだ。

 物理的な回線とセットでSD-WAN運用サービスを提供するサービス事業者には、ネットワーク管理の大部分を任せることができる可能性がある。ただし複数のベンダーの製品を使って構築している場合は、設定変更やトラブルシューティングに時間がかかるリスクがある。

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