Web2.0型消費者主導の口コミ広告に規制の動きが始まる米国IT変革力【第32回】

2006年末に、ついに消費者主導広告(CGCM)に対する規制が動き始めました。ブログやSNSが増え続ける今、消費者主導型の口コミマーケティングは、これからますます増えていくことでしょう。ただ一方で、倫理上の問題が指摘されています。

2007年01月10日 00時00分 公開
[TechTarget]

 2006年末に現れた面白い動きの1つは、消費者主導広告(CGCM)に対する規制の動きでしょう。米国のFederal Trade Commission(連邦取引委員会、日本の公正取引委員会に対応する組織)では、「商品の口コミプロモーションにおいてブログなどで口コミを行った消費者に口コミ手数料を支払うタイプのマーケティングを行う企業は、その旨を開示しなければならない」といった議論が始まっています。

 さて、Web2.0と呼ばれる大衆が簡単に日記や写真、動画などを投稿できる穏やかな環境(新しい社会環境である「コモンズ」)がネット上に出現し、生活者による投稿数が幾何級数的に増加する時代が到来しています。当然、そこではオープンソースマーケティングなどと呼ばれる消費者主導型の口コミマーケティングが台頭し、企業もそれに手数料を払うなど、積極的に参加し始めています。

 しかしついに、口コミマーケティングに対する米国当局の規制の動きが表面化しました。

口コミマーケティング規制問題

 これまで、スポンサー付きブログやSNSなど、口コミマーケティング目的のスポンサー付き投稿は、法律上の問題はないが倫理上の問題があると数多くの指摘が行われてきました。

 例えば、マイスペースが作るマーケティング用のコミュ二ティは、キャラクターを活用しているものがあります。そこでハンバーガーチェーンが「キャラクターであるキングバーガーの友達の輪に入ろう」というマーケティングを行い、10代の多くの子供たちが参加しました。しかし、これに対しては「子供達をだましてビジネスに取り込むハーメルンの笛吹きだ!」といったトーンでの批判が一部で出ています。また、PPP(PayPerPost)などのサイトでは、参加者が企業から委託を受け、手数料をもらって商品宣伝のブログを書くことが奨励されています。その結果、極端な場合には商品を一度も使ったことがなくても、商品を褒めそやす中身の薄い、同じようなブログが氾濫する傾向が指摘され始めています。

 これは、ステルスマーケティングやアンダーグラウンドマーケティングと呼ばれています。分かりやすく言えば、ステルスマーケティングは宣伝の意図を隠して行う、騙しややらせのコマーシャルであり、倫理上問題だというわけです。

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