インターネットでまたたく間に広まる自社についてのうわさや評判。ニュースクリッピングやGoogleだけで対処するのは、ほとんど不可能になっている。
人気ブログのEngadgetは5月、Apple社内からリークされた電子メールを掲載した。iPhoneの発売が6月から10月に延期され、Leopardサーバプロジェクトはさらに遅れるという内容だった。
ニュースはブログから瞬く間に広まって、Appleの株価は1株当たり4.50ドル下げ、たった6分で時価総額が40億ドル下落した。
1つ問題があった。電子メールは偽物だった。Appleは即座にEngadgetに訂正を求め、Engadgetもすぐに従った。影響力の大きなブロガーに対するAppleの素早い反応のおかげで、Appleの株価は20分以内に元に戻った。iPhoneは予定通りに発売され、その後のことは周知の通りだ。
しかしAppleの対応がもっと遅かったらどうなっていただろうか。Appleの株主と同社の評判に与える打撃はより大きく、後を引くものになっていたかもしれない。
実際、この短時間に起きた出来事で、インターネット上の評判が企業の財産に及ぼす影響が増している現実が浮き彫りになった。企業はこうしたネット上の評判管理に着手すべきだと専門家は言う。
Appleが具体的にどうやって問題の投稿を見つけたのかは不明だが、同社はネット上のあらゆる場所ですべてを非常に注意深く監視していた公算が大きい。ネット上で自社についてどう言われているかを把握するのは、最近までニュースクリッピングサービスやGoogle頼みだった。しかし、Web上で企業がダメージを受けるケースが増える中、従来のようなやり方だけで対処することはほとんど不可能になっている。
ソーシャルメディアとユーザー生成コンテンツ(UGC)が浮上する中、ネットの評判管理はEngadgetのような影響力の強いブログを監視するだけでは済まなくなっている。Wikipediaのような人気サイトは何百万人もがコンテンツを書き換える。Yelp.comやAngie's Listといったチャットサイトや人気消費者レーティングサイトには、匿名で投稿できる。インターネットは、世論が匿名で形成され得る複雑な生態系になっていると、米調査会社Gartnerのトビー・ベル副社長は話す。
「企業の評判は、ほとんど無限ともいえる情報源に基づくものになる」とベル氏は予想する。インターネットは「体系化されていない情報の巨大データベースであり、意見の対立が生じると、悪い評判が生まれる土壌となる。これはどんどん発展し、従来の悪評の域を超えることもある。誰でも情報発信できるようになれば、中傷が起きる確率は何百倍にもなる。説明責任などないのだ」
ベル氏は企業に対し、ポリシーの作成と、ネット上の評判管理を支援する技術の採用を促している。
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