「ITガバナンス」という言葉には仰々しい響きがあるが、IT部門がビジネス部門から十分な評価を勝ち取るための武器にすることもできる。
ITガバナンスを怖がってはいけない──それはあなたの友人になるかもしれないのだ。「ITガバナンス」という言葉には、それを経験したことのない人にとっては仰々しい響きがあり、ITガバナンスのコンプライアンス部分を担当している人にとっては、決して心地よいものではないかもしれない。ITガバナンスはコンプライアンスという意味も含んでいるが、実際にはそれよりずっと広い範囲をカバーする言葉だ。
ITガバナンスがあなたの友人になるかもしれないというのは、ビジネス部門に対するITの価値を可視化するからだ。当然ながら、これはCIOにとって重要なことだが、IT部門のスタッフ(データセンター運用スタッフも含む)にとっても重要だ。では、データセンターのスタッフにとってITガバナンスは何を意味するのか見ていくことにしよう。
最初のポイントは可視性と意識性だ。IT部門がビジネス部門から十分に評価されていないのは、IT部門が何をしているのかがユーザーにはほとんど見えないからだというのがわたしの主張だ。確かに、問題が起きたときにはIT部門は非常に目立つ存在になる。だが、何も問題がないときは、問題のない状態を維持するためにIT部門が陰で努力していることに対して、ユーザーや彼らの上司は感謝の念を抱かないのが普通だ。
例えて言えば、水道のようなものだ。われわれは水道の蛇口をひねると水が出るのを当たり前だと思っている。正直なところ、わたしも水を供給するために水道会社のスタッフが日夜努力をしていることに思いを巡らせたことはない。また、そうしたスタッフの日々の努力の恩恵を受ける自分の幸運をいつも感謝しているわけでもない(これを読んでいる水道会社の従業員の方には、この場を借りておわびしたい)。われわれは必要なときにはいつでも水が出てくるものだと思っており、そうならないときには腹が立ってしまうのだ。大抵の企業のIT部門も、これと同じような立場に置かれている。
ITガバナンスは、幾つかのレベルで可視性を提供する。まず、社内の各部署あるいはグループが使用しているITサービスの金銭価値を把握することが可能になる。ほとんどの企業では、各部署へのITサービスに課金してはいないが、利用するサービスの価値を報告することには非常に大きな意味がある。消費するITサービスの金銭的価値を各部署のマネジャーに意識させることになるからだ。
この可視性がなければ、ITサービスは「無料の」リソースと見なされてしまう。その結果、しかるべき評価を与えられず、節約しようという意識も生まれない。電気やガスの料金が一切請求されないとしたら、こういったサービスの使い方がどれほど変わるだろうか。恐らく、小まめに電気を消すこともなく、暑い季節に冷房の設定温度を高めにすることもなく、電気会社のリソースに大きな負担を与えるのではなかろうか。
各部門のマネジャーの間で、自分たちが使用しているITリソースに対する意識が高まることが第1段階だ。コストは価値と直接的な関係はないが、価値意識を与えることは確かだ。
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