日本HP、「ユーザー要件とテスト間の矛盾を防ぐ」品質管理ソフトNEWS

要件管理/テスト管理の機能を統合し、両プロセス間を双方向で確認することによって、ソフトウェアの品質向上を支援する。

2009年02月27日 09時00分 公開
[翁長 潤,TechTargetジャパン]

 日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)は2月25日、ソフトウェア開発時の要件管理とテスト管理を統合するソフトウェアの新版「HP Quality Center 10.0」(以下、Quality Center)を発表した。要件定義やテスト資産などの情報を単一のリポジトリで管理することで、要件の変更に伴うテスト工程の変更に柔軟に対応でき、テストで発生した不具合の原因を迅速にトラッキングすることが可能。

 Quality Centerは、ユーザーの業務要件を実現するための機能、性能、セキュリティなどを管理する「要件管理モジュール」、テスト計画時に優先順位やリスクの評価や分析する「テスト計画」機能、「テスト実行・管理」機能、「バグ・QA管理」機能などで構成される。

HP Quality Center 10.0の概要図

 今回発表された新版では、ソフトウェア開発時に頻繁に発生する要件定義プロセスの変更とそれに伴うテストプロセスの変更を双方向で確認し、両プロセスの矛盾を防ぐことでソフトウェアの品質向上を支援する機能が追加された。

 Quality Centerでは、要件やテストスクリプト、ビジネスコンポーネントなどの各テスト資産の変更履歴を管理する「バージョン管理」機能、任意の時点におけるテスト資産の内容をスナップショットとして包括的に管理し、必要に応じてその状況を再現する「ベースライン管理」機能などが利用できる。

 また、同社の自動機能テストツール「HP Quick Test Professional software」が作成、使用した共有オブジェクトや関数ライブラリ、データテーブルなどのデータリソースのバージョンをQuality Center内で管理することも可能。

 同社のHPソフトウェア事業本部マーケティング部プロダクトマーケティング、岡崎義明氏は、現在のシステム開発では、システム間のデータ連携の幅が広がり、コンプライアンス対応が求められ、さらにオフショア開発が進んでいるため、「プロジェクト単位での品質管理には限界がある」と指摘した。その上で、今回の新版では「プロジェクトを越えた、全社レベルでの品質基準を確立する機能を提供する」と説明した。

photo HPソフトウェア事業本部マーケティング部プロダクトマーケティング、岡崎氏

 Quality Centerでは「プロセス設定支援機能」を利用できる。この機能は、すべてのプロジェクトに適用すべき共通の品質プロセスをテンプレート化して、各プロジェクトに自動的に配布するというもの。組織レベルでの品質プロセスの標準化を図ることができる。また、テンプレートを基にプロジェクト独自のカスタマイズを加えることも可能。

 さらに、Quality Centerでは、ほかのプロジェクトで定義されたテスト資産の内容をインポートして再利用できる機能を提供する。プロジェクトごとに異なっていたテスト粒度を統一することで、異なるプロジェクトが同時に同じシステムを変更した際に発生していた不具合を解消できるという。

 Quality Centerは提供する機能によって、次の3つのエディションが用意されている。テスト管理機能のみの「Starter Edition」、プロジェクト単位での要件/テスト管理向け「Enterprise Edition」、複数プロジェクトにも対応する「Premier Edition」。プロセス設定支援機能と要件/テストの再利用機能はPremier Editionでのみ利用できる。4月1日より販売を開始する。

HP Quality Center 10.0の参考価格
製品名 サイトライセンス(税込)
HP Quality Center Starter Edition 50万4000円
HP Quality Center Enterprise Edition
(Quality Center High Availability Server含む)
504万円
HP Quality Center Premier Edition
(Quality Center High Availability Server、同時接続5ユーザーパッケージ含む)
924万円
要件管理モジュールのみの追加ライセンス 33万6000円

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 クラウドストライク合同会社

DevSecOpsを成功に導くには? 実践的な5つのベストプラクティス

開発と運用を一体化するというDevOpsにセキュリティを組み込んだDevSecOps。この手法を活用して、セキュアかつレジリエントなアプリケーションを開発するためにはどうすればよいのか。実践的な5つのベストプラクティスを紹介する。

製品資料 株式会社SHIFT

当時の担当者もドキュメントもないレガシー環境、刷新で頼るべきは生成AIの理由

DX推進のため、レガシーシステムの刷新を検討する企業は多いが、当時の担当者が退職している、ドキュメントがないなどの理由から難航するケースが後を絶たない。そこで注目される解決策が、生成AIを活用したリバースエンジニアリングだ。

製品資料 株式会社SHIFT

テストの品質・効率を向上させる生成AI活用、推進できる人材をどう確保する?

ソフトウェアテストは生成AIと相性の良い領域の1つだ。脆弱性の洗い出しやテスト設計・実行の自動化など、さまざまな工程で改善が期待できる。ただ、問題となるのが、その推進役となるAI人材の不在だ。どのように人材育成すればよいのか。

技術文書・技術解説 アマゾン ウェブ サービス ジャパン 合同会社

クラウドコストの最適化に貢献するベースイメージ選定のポイント

コンテナイメージのファイルサイズ削減は、コンテナの軽量化・高速化をもたらし、クラウドコストの最適化に貢献する。削減を実現する鍵となるのが、ベースイメージの選定にある。本資料では、主要なベースイメージの特徴を解説する。

事例 アマゾン ウェブ サービス ジャパン 合同会社

人手対応には限界がある掲示板の投稿監視、生成AI活用でどれだけ効率化される?

掲示板に1日数万件の投稿があり、不適切コメントが見逃されるなどの課題があったある企業。この現状を打破すべく導入されたのが、大手クラウドベンダーが提供する生成AIの基盤モデル活用サービスだ。その効果や、運用の秘訣を紹介する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...