グループウェアなどの情報系システムは、SaaS利用の難易度が低いはずだが、SaaSへの移行はまだ進んでいない。その理由をユーザー調査から考えてみよう。
「SMBのためのSaaS利用術」第4回のテーマは「情報系システム」である。グループウェアやメールがその代表例だ。これら情報系システムは自社内運用からSaaSへの移行が比較的容易であるとされている。早速、本連載のキーポイントである「業務システム特性」をチェックしてみよう。
業務特性 | レベル |
---|---|
初期導入コスト | 低 |
自社運用負担度 | 低 |
カスタマイズ度 | 低 |
データ連携度 | 低 |
データ秘匿度 | 中 |
出典:ノークリサーチ(2009年) |
情報系システムの多くはパッケージ化が進んでいる。そのため低価格ながらも機能が高く、導入も容易な製品が少なくない。従って、初期導入コストは低いといえる。
情報系システムは基幹系システムと比べ、求められる可用性のレベルがそれほど高くないことが多い。また、大企業においては出社時の同時ログイン処理発生といった急激な負荷増大への配慮が必要だが、従業員数の少ない中堅・中小企業においてはそうした課題も少ない。故に、自社運用負担度も低いということになる。
パッケージが洗練されるまでの段階で、情報系システムにおいても独自画面の作り込みを中心としたカスタマイズが少なくなかった。昨今では製品も成熟し、ユーザー個別の要望は管理者設定の変更で多くをカバーできるようになってきている。そのため、ソフトウェアをプログラム的に改変する必要があるという意味でのカスタマイズ度も低くなっている。
情報系システムが扱うスケジュール情報などのデータは、ほかの業務システムと連携させてもっと価値を高められる可能性を持っている。しかし中堅・中小企業において、そうした積極的なデータ連携を実践している例は少ない。この点については後述するが、現段階でのデータ連携度は低いといえる。
ここまでいずれの業務システム特性も「低」となっているが、最後のデータ秘匿度だけは例外である。スケジュール情報やメール本文には顧客の氏名/社名/メールアドレスといった個人を特定できるデータが意外と多く含まれている。普段意識しないことが多いが、情報系システムのデータ秘匿度は低くはないということに留意しておく必要がある。
こうして見ると、確かに情報系システムにおけるSaaS活用はそれほどハードルが高くなさそうである。しかし、実際には中堅・中小企業の多くが依然として自社内で情報系システムを運用している。以下ではその要因について考えてみよう。
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