プロジェクト管理ツール紹介:デイルート編
コスト管理の手間が省けるプロジェクト原価管理ツール「A-Sign」
コスト削減が叫ばれる中、プロジェクトにおけるコスト管理にもより厳格さが求められる。しかし、実際にプロジェクトで行われているコスト管理はプロジェクトマネジャーのスキルに左右されることが多い。
プロジェクトのコスト計算はPM本来の業務ではない!?
「品質管理」「納期管理」「コスト管理」の3つは、いずれもプロジェクトマネジャー(以下、PM)にとって欠かすことのできない業務能力だ。実際のプロジェクトにおけるコスト管理は、現場スタッフの想定単価や稼働時間などを基にした理論原価だけでなく、財務部門が把握する契約金額や実際原価など複雑な関連性がある。そのため高度なスキルが必要と考えられ、PMや財務担当者がそれぞれの属人的手法で労力を掛けて“コツコツ”とコストを算出していることが多いだろう。
デイルート代表取締役の金山成珍氏は「コスト計算はPMのスキルにかかわらず定型作業化することができる業務である」と指摘し、「本来、PMの能力はコスト計算ではなく、非定型作業の品質管理や納期管理において発揮されるべきだ」という。
今回は、プロジェクトにおけるコスト管理を支援する同社のプロジェクト原価管理ツール「A-Sign」を紹介する。プロジェクトのコスト管理の定型作業化に必要な機能とは一体何であろうか。
プロジェクトにおけるコスト管理の課題
同社ではA-Signの開発に当たり、現在のプロジェクト管理が抱える課題として次の5つを洗い出し、それらの課題すべてを解決するための機能をA-Signに盛り込んだという。
- 複数のプロジェクトにまたがるコストが多く、販管費が肥大化し、本当の利益が把握できない
- 経営サイドと現場サイドのコスト認識にギャップがある
- 工事進行基準に対応し、進行途中の売上進ちょくを把握したい
- 月次計画を出すために細かい日次計画を作成する必要がある
- 現場スタッフのリソース状況を把握できない
金山氏によると「一般的なプロジェクト管理ツールでは、予算管理者、PM、プロジェクトメンバーそれぞれに向けた異なるツールが提供され、各ツール間のデータ連携が容易ではないこともあった」という。また、「最近ではPM向けツールと現場向けツールを融合した製品も普及してきたが、現場の情報を基にした日次データから月次データへの一方向の連携にとどまっていた」と説明する。その場合、月次データは日次データの集計値でしかなく、長期プロジェクトにおける月次計画は、その基になる日次データを作成しなければならないこともある。しかし、「遠い将来の細かい日次計画を作成することは面倒な作業になる」という。
その上で、A-Signについては「個別原価管理とEVMの融合により、マクロな個別原価情報とミクロな現場情報のシームレスな連携を実現し、正確かつ定型的なコスト管理を可能にした」と説明する。
個別原価管理とEVMの連携によって正確なコスト管理を実現
A-Signは“コスト管理の定型作業化”に注力して開発されたプロジェクト原価管理ツールだ。プロジェクト管理者や原価管理担当者のPCにインストールして利用する。プロジェクトにおけるスケジュールや財務情報、契約情報、作業実績などのデータを管理し、プロジェクト原価を算出する。
| 機能 | 概要 |
|---|---|
| 月次アサイン・日次アサイン | ガントチャートでのスケジュール作成と要員割り当て |
| スケジュール管理 | 月次スケジュール(マクロ)と日次スケジュール(ミクロ)の連携 |
| 他部門との連携 | リソース原価と契約金額や財務支払実績とを整合させ、原価差異を解消する |
| 各種指標管理 | 個別原価管理における時系列での拡張、過去の生産性を参考に将来の生産性を予測するなど、さまざまなバリュー・コストを組み合わせた指標を把握できる |
| Microsoft Office製品との連携 | ガントチャートのExcel出力、要件定義書のWord出力 |
A-Signでは個別原価管理とEVMの連携機能によって、リソース原価(人・経費)をプロジェクトやタスクに「多対多」に振り分け、契約金額や財務実績、予算と整合したプロジェクト原価の管理を実現する。リソース原価の振り分けは、ガントチャート上で直感的なマウス操作によって行うことができ、個別原価管理を時系列のEVMにシームレスに拡張することも可能だ。
また、月次データと日次データを独立して作成し、必要に応じて双方向に同期できる。これにより、最初は月次・フェーズ単位で大まかなプロジェクト計画を作成し、徐々に日次・タスクの詳細なスケジュールを作成するといった「スケジュールの段階的詳細化」が可能となる。さらに、リソーススケジュール機能も備えており、現場スタッフの空き状況やスタッフ別のコストや生産性、EVMなども把握できる。従来のような積み上げ式ではなく、リソース原価を“引き算”で各プロジェクトに振り分けることで、現場スタッフの業務負荷の最適化を実現する。
このほか、経営層に提出するリポート機能も充実。テンプレートを基に文字や色などをカスタマイズするだけで、用途に応じた分析リポートを簡単に作成でき、Microsoft Office ExcelやWord形式で出力可能だ。
システム開発業だけでなく人材派遣業や製造業にも導入実績
A-Signの販売価格は標準機能の最小構成システムで100万円から。システム構成として、PMごとにデータ管理する「スタンドアロンタイプ」、複数PMでデータ共有できる「LANタイプ」、PMやスタッフを含めた全プロジェクトメンバー間でデータ共有できる「Webタイプ」の3種類を用意している。
スタンドアロンタイプとLANタイプはいずれもPM向けに特化したツールで、財務部門が管理している原価データおよび現場スタッフが入力する実績データをExcelやCSV形式でA-Signにインポートしてプロジェクト原価管理を行う。
金山氏は「プロジェクト管理ツールは、導入しても現場スタッフに使ってもらえないというケースも多い。A-Signでは、現行のシステムを変更せずに原価データや実績データを取り込むことができるため、現場スタッフに余計な負担を掛けることなく導入できる」と説明する。
また、Webタイプでは現場スタッフがWeb上の管理画面から日々の実績や進ちょく、課題など入力すると、そのままPM向けの管理画面にも反映され、プロジェクトの現状をリアルタイムに把握・分析することが可能となる。
A-Signは2008年6月のリリース以来、現在30~40社の導入実績があり、IT系のシステム開発会社だけでなく大手人材派遣業や大手製造業でも活用されているという。金山氏は、「A-Signは、人のリソース管理に強いことが評価され、業界を問わずプロジェクト原価に占める人件費の割合が高い企業に導入が進んでいる」と説明する。
テクノサーキュレーション代表取締役の坂本真也氏は「A-Signの豊富な機能を活用するためには、その導入や運用にはある程度のスキルが求められる」と説明し、同社では「各企業のプロジェクト管理のレベルに合わせ、マクロからミクロへの段階的な機能拡張を提案するなど、A-Sign導入のハードルを下げ、スムーズな運用を支援する」としている。
具体的な支援としては、A-Signを活用した「プロジェクト管理アドミニストレーター(PMA)派遣サービス」がある。PMAとはプロジェクト管理において定型業務を専門的に行うスタッフのことを指す。同社の派遣サービスでは、A-Signを利用した原価データ処理を専門に行うスタッフとしてPMAを派遣する。坂本氏によると「これによりPMは、手間が掛かっていたコスト管理を定型作業としてPMAに任せることができ、本来注力すべき非定型作業に専念することが可能になる」という。
今後デイルートでは、テクノサーキュレーションとの連携を密にしながら、プロジェクトに関するコスト削減を課題とする企業に向けて、積極的にA-Signの販売を推進していく考え。また、さらに幅広い企業のニーズに対応するため、製造業向け原価管理機能の強化やWeb版の機能拡充など、引き続きA-Signのバージョンアップを進めていく計画だ。
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