モバイルユニファイドコミュニケーション入門 PART2携帯/無線LANのいいとこ取り「FMC」の導入

シリーズ第2回では、モバイルUCの基盤となる2つのネットワーク、無線LANと携帯電話のネットワークの「いいとこ取り」を可能にするFMCソリューションについて解説する。

2010年05月26日 07時30分 公開
[Michael F. Finneran,TechTarget]

 本連載の第1回目は、ユニファイドコミュニケーション(UC)の定義を明らかにするとともに、UCの導入で企業が期待できる主なメリットを挙げた。今回は、モバイルUCソリューションおよびその簡素バージョンともいえる固定・携帯融合(Fixed Mobile Convergence:FMC)ソリューションを導入するための主な戦略について解説する。

 無線ネットワークの可用性と信頼性の向上により、UCをモバイル化することが可能になった。しかし、モバイルUCの基盤となる無線ネットワークには2つのタイプが存在する。無線LAN携帯電話のネットワークサービスだ。無線LANでは通信範囲が限定されるが、対応携帯を導入してしまえば実質的に無料で利用できる。一方、携帯ネットワークはモバイルユーザーの活動範囲を全国(可能性としては全世界)に拡大できるが、このユビキタスなアクセスにはサービス料金が掛かる。企業は両者の「いいとこ取り」をしたいと考えている。すなわち、携帯ネットワークと社内の有線・無線ネットワークを連携することが可能なFMCソリューションを求めているのだ。

FMCに至る2つ道、「cFMC」と「eFMC」

 FMCとは、携帯ネットワークを社内の電話ネットワーク(有線・無線)に連携し、両ネットワーク間で通話をハンドオフできるようにすることだ。現在、企業向けに各種のFMCソリューションが出回っている。これらは以下の3つの主要な基準によって分類できる。

  1. 管理の主体:キャリアが管理する方式(cFMC)と企業が管理する方式(eFMC)
  2. ハンドオフ方式:ハンドオフなし、手動ハンドオフ、自動ハンドオフ
  3. 機能:基本的な通話機能のみ、音声・データサービス、モバイルUC

キャリアが管理するFMC――cFMC

 cFMCソリューションで最も高い機能を実現するのは、携帯ネットワークと全面的に連携し、通信キャリアがほかの基地局に通話をハンドオフするのと同じように、企業の社内ネットワークに、あるいは社内ネットワークから通話をハンドオフするという方式だ。残念ながら、キャリア各社はこれまでこういった高度な連携を提供するのに消極的だった。

 現時点では、「Unlicensed Mobile Access(UMA)」と呼ばれる技術あるいはフェムトセルを利用した代替技術を使ってcFMCを構築できる。UMAはT-Mobileの「HotSpot@Home」サービスで採用されている技術で、特殊なソフトウェアを組み込んだデュアルモード型Wi-Fi・携帯端末を使用する。ユーザーが自宅の無線LANの通信範囲内にいるときは、携帯端末は無線LAN・ブロードバンドインターネットコネクション経由でキャリアに接続する。ユーザーが無線LANの通信範囲外に移動すると、即座に通話が携帯ネットワークにハンドオフされる。

 米Sprint Nextelは最近、フェムトセルを利用した同様のcFMCソリューション「Airave」を発表した。この方式は、ユーザー宅内の小型携帯基地局がブロードバンドインターネットサービスに接続されるというものだ。

 図1に示すように、いずれの方式もユーザーが利用しているブロードバンドインターネットサービス上で実現されるVoIP(Voice over IP)を携帯ネットワークの代替として用いる。両者の違いは、ローカルの無線コネクションがWi-Fi技術を使用するか携帯技術を使用するかという点にある。企業ユーザーにとって、これら2つの方式の最大の欠点は、両者ともにコンシューマー向けの音声専用サービスであり、社内のPBXやモバイルUCシステムに連携できないことだ。

図1 図1 cFMC

 長期的には、キャリア各社がIP Multimedia Subsystem(IMS)と呼ばれる包括的なアーキテクチャを採用したFMC型サービスを提供する可能性もある。しかし現時点では、米キャリア各社はIMSベースのcFMCサービスをまだ発表していない。

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