複数のシステムを組み合わせて稼働させるERPシステムの常識が変わりつつあります。大手ベンダーは複数システムを最適な形で組み合わせた統合製品に注力しています。ERPの将来の姿を考えてみましょう。
企業の会計や人事、在庫などを管理するERPシステムは複数のシステムで構成することが一般的です。つまりERPパッケージが稼働するサーバの他、データベースサーバ、アプリケーションサーバ、ストレージシステムなど複数のシステムを組み合わせることで、高信頼で高速なERPシステムを作り上げているのです。しかし、そのERPシステムの常識が変わりつつあります。
将来のERPシステムは超高速なERP向けの統合システムで稼働している可能性が高いといえるでしょう。ここでいうERP向けの統合システムとはERPパッケージとデータベース、ミドルウェア、ストレージなどのシステムを最適な形で統合したアプライアンスです。
この流れを推し進めているのは、ERPパッケージで最大手のSAPと、Oracle(オラクル)です。SAPジャパンは2010年12月に「真のリアルタイム性を実現する」と銘打った新製品「SAP HANA」を発表しました。HANAはメモリ上にデータベースを展開するインメモリデータベース技術を基盤にすることで高速な処理を実現するアプライアンス製品です。インテルのXeonプロセッサーに最適化されていて、主にデータ分析(OLAP)に高いパフォーマンスを発揮します。HANAはヒューレット・パッカードやIBM、富士通、デル、シスコシステムズのサーバに搭載され、アプライアンスという形で提供されています。
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