ネットワークの省エネ術が分かる3つのホワイトペーパーホワイトペーパーレビュー

電力供給の不安や電力コストの高騰を受け、重要性が高まるIT関連の消費電力削減。本稿はネットワークに絞り、消費電力の削減方法を示した3つのホワイトペーパーを紹介する。

2012年08月29日 08時00分 公開
[鳥越武史,TechTargetジャパン]

 2011年3月に発生した東日本大震災以降、電力を取り巻く状況が激変している。震災後の発電所停止などで、国内企業は電力不足の危機に直面した。影響は電気料金にも及び、東京電力は2012年4月、ビルや工場などを対象にした高圧・特別高圧電力の値上げを要求。2012年9月には、事務所や商店などを対象にした低圧電力の値上げも控える。

 電力で稼働する情報システムの運用において、電力の供給不安やコスト増は多大な影響を及ぼす。情報システムの消費電力削減は、企業にとって喫緊の課題だ。本稿は、TechTargetジャパンに登録されたホワイトペーパーの中から、特にネットワークの消費電力を削減する方法について解説した3本を紹介する。

「使っていないのにフル稼働」を排除

ネットワークの「MOTTAINAI」を解決!!アラクサラのダイナミック省電力技術

写真 提供:アラクサラネットワークス(16ページ)

 ネットワークのトラフィックは常に発生しているわけではない。サーバ室など、ネットワークを絶対に止めることができないところもある一方で、事務室や会議室など、休日や深夜にはネットワークトラフィックが発生しない場所もある。当然ながら、バックエンドのスイッチが処理するトラフィック量も変動する。

 本ホワイトペーパーが紹介するのは、スケジュール機能を利用してネットワーク機器の動作を一部制限する手法だ。日時や曜日などを指定し、利用しないと考えられるときはネットワーク機器の電源をオフにしたり、トラフィックが減少すると予想されるときには性能を落とす、といった処理を自動実行する。

センサーで人を感知しリアルタイムで電源をオン/オフ

オフィスの電力使用量を約25%削減達成。従来にはない新しい節電対策とは?

写真 提供:NTTソフトウェア(10ページ)

 スケジュールによるネットワーク機器の電力制御は確かに効果的だが、休日出勤する従業員の利便性を下げることになりかねない。従業員の出勤状況にかかわらず、スケジュールに基づいて電源を落としてしまうと、休日に自分の机で無線LANが利用できなくなるといったことが起こるからだ。

 本ホワイトペーパーが紹介する「リアルタイム節電」は、スケジュールによる電力制御が持つこうした課題を解決する。リアルタイム節電は、センサーで人がいないことを検知すると、ネットワーク機器の電源をオフにする電力管理手法だ。人を検知するセンサーをフロアに設置。従業員の存在をセンサーが特定すると、必要なネットワーク機器のみを自動でオン/オフする仕組みである。

 対象はネットワーク機器ではないが、本ホワイトペーパーは、リアルタイム節電の検証結果も紹介。蛍光灯の照明やクライアントPCの電源オン/オフをリアルタイム節電で管理した結果、消費電力を約34.7%削減できたという。

機器の設置方法改善で消費電力削減

データセンターの省エネ化対策 事例でみる課題解決策

写真 提供:日東工業(2ページ)

 消費電量を削減する方法は、ネットワーク機器自体の電源オン/オフや処理性能の調整だけではない。その他の手段として、ネットワーク機器の排気や吸気の管理がある。本ホワイトペーパーは、ネットワーク機器の設置方法の改善で排気や吸気を効率化し、消費電力を削減した事例を紹介する。

 ホワイトペーパーでは、側板がないラックに側面吸気型のルータを設置した例を紹介。ルータが隣にあるラックからの排熱を吸気してしまい、温度異常が発生してしまっていた。そこで、排気と吸気の間に風向きを変える風向パネルを設置し、排熱を背面に逃がすことで排熱の吸気を防止。冷却の強度を上げることなく、ルータの温度異常を解消できたという。

 本ホワイトペーパーは、ネットワーク機器だけでなく、データセンター全体の省電力策についても解説。フロア内の冷気だまりや熱だまりをラックや空調といったファシリティの見直しで解消した事例などを紹介している。

 今回紹介したホワイトペーパー以外にも、ホワイトペーパーダウンロードセンターでは、ネットワーク管理製品導入時に参考となる技術文書や製品資料、事例紹介などを掲載している。ぜひダウンロードしてご活用いただきたい。

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