【市場動向】メインフレーム、オフコンをクラウドに移行、その利点とはレガシーマイグレーションの新潮流

メインフレームやオフコンなど、いわゆるレガシーシステムの移行先としてクラウドを利用する新しいレガシーマイグレーションのサービスが増えてきた。代表的なサービスを紹介する。

2012年09月11日 08時00分 公開
[垣内郁栄,TechTargetジャパン]

 会計や人事・給与などの業務アプリケーションのプラットフォームとしていまだに多くの企業で使われているメインフレームやオフコン。現在、主流のオープンシステム(IAサーバUNIXサーバなど)と区別するためにレガシーシステムと呼ばれることもある。日本企業は長くこのレガシーシステムのオープンシステムへの移行(レガシーマイグレーション)を進めてきた。その移行先として従来のオンプレミスのオープンシステムではなく、PaaSなどのクラウド環境に移行するサービスを各社が展開し、注目を集めている。本稿ではクラウドを活用したレガシーマイグレーションの新しい潮流を紹介する。

約半年でシステム移行が可能

 企業はレガシーシステムの高額な保守サポートコスト、パフォーマンスの低下、低い柔軟性、サポートできる人員の減少などを問題視して、この10年ほどレガシーマイグレーションに取り組んできた。しかし、レガシーマイグレーション自体にコストが掛かるため、中堅・中小企業では二の足を踏むケースもあった。移行先のハードウェアの用意やレガシーシステムで稼働していたCOBOLプログラムなどの書き換えにコストが掛かるのだ。

 クラウドを使ったレガシーマイグレーションでは、移行先のサーバを保有する必要がなく、低コストが特徴だ。プログラムを書き換えることなく、ほぼそのままの状態でクラウドに対応できるサービスもあり、変換のコストを抑えることもできる。また、システムの保守・運用をベンダーに任せることでコスト削減、サービスレベルの向上も期待できるなどのメリットがある。

 NTTデータは、メインフレームで稼働していたCOBOLプログラムを同社のクラウド基盤である「BizXaaS」上に移行する「COBOLクラウド」サービスを提供している(参考記事:“SIerとしてのクラウド”、NTTデータの「BizXaaS」)。COBOL実行環境として英マイクロフォーカスのCOBOL製品を採用し、NTTデータのCOBOL用開発フレームワーク「PORTOMICS」や基盤技術「PRORIZE」を組み合わせることで、「バッチジョブ制御」「階層型DBアクセス」などメインフレームの代表的な機能をクラウドで利用できるようにする。メインフレーム上のCOBOLプログラムをクラウド上に移行でき、企業は移行に伴うリスクやコストを抑えることができる。BizXaaSだけでなく、企業が保有するプライベートクラウド環境を移行先に選ぶことも可能で、企業の事情に合わせた利用形態が選べる。

 NTTデータはこのCOBOLクラウドを活用して財団法人車両情報センターの「次期競輪電話投票システム」を構築したと2012年4月4日に発表した。従来システムで使っていたサーバ環境をBizXaaS上に移行し、競輪電話投票の業務アプリケーションをほとんど修正することなく稼働させた。業務アプリケーションの修正を少なくすることでテスト工程などが短縮でき、約半年という短期間で移行が完了したという。

オフコン環境を月額料金で利用

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news168.jpg

新富裕層の攻略法 「インカムリッチ」の財布のひもを緩めるマーケティングとは?
パワーカップルの出現などでこれまでとは異なる富裕層が生まれつつあります。今回の無料e...

news166.jpg

ブラックフライデーのオンラインショッピング 日本で売り上げが大幅に増加した製品カテゴリーは?
Criteoは、日本国内のブラックフライデーのオンラインショッピングに関する分析結果を発...

news191.jpg

Omnicomが Interpublic Groupを買収 世界最大級の広告会社が誕生へ
OmnicomがInterpublic Group(IPG)を買収する。これにより、世界最大の広告会社が誕生し...