米Microsoftが成長著しいモバイル管理市場に新規参入した。同社の新たなエンタープライズ向けモバイル管理基盤は市場に受け入れられるのだろうか。その影響力は未知数だ。
米Microsoftが新たなエンタープライズ向けモバイル管理基盤をリリースしたことについて、アナリストは同社が成長市場に参入するための準備を始めたと見ている。だが、Microsoftの知名度が見込み客に影響を与えるかどうかは未知数である。
Microsoftが提供するエンタープライズモビリティマネジメント(EMM)プラットフォームは、「Windows Server 2012 R2」「System Center 2012 R2 Configuration Manager」、クラウド型の「Windows Intune」から成る。Windows IntuneではiOSデバイスの管理も可能だ。
同社のモバイルストラテジスト、ロブ・ティファニー氏によれば、Microsoftの新たなEMMプラットフォームには、MDM(モバイルデバイス管理)、MAM(モバイルアプリケーション管理)、情報とコンテンツ管理のためのコンポーネントが用意されているという。
EMM市場では新規参入企業だが、Microsoftには知名度という大きな強みがある。System Centerを使い慣れている企業は、事業にMicrosoftのEMMプラットフォームを積極的に導入することが予想される。
米シアトルに本社を置く米Paladorでモバイルアナリストと社長を兼務しているベンジャミン・ロビンス氏は「Microsoftは先発者ではないが、Active Directory、System Center、クラウド機能など、同社が既に持っている機能の長所を生かしている」と話す。
「IT部門は水のような性質を持ち、一番楽な道を行こうとする。よく分からないものよりも、Microsoft製品を選ぶだろう」(ロビンス氏)
EMM市場参入の動きは、Microsoftにしては緩やかなものだと米マサチューセッツ州ファルマスに本社を置くSepharim Groupのモバイル市場アナリストとCEOを兼務し、同社の創設者でもあるボブ・イーガン氏は述べる。
「Microsoftはモバイルインタフェースに少しずつ取り組んでいる。これは今後の同社のシステムにとって欠かせないコンポーネントになる」とイーガン氏は話す。
ティファニー氏は、先週のEMMプラットフォームのリリースまで長い時間がかかったと語る。
「1年以上前にMDMとMAMの強化に取り組み始め、System CenterがIntuneを経由できるようにするコネクタを作成した」
同氏によると、新しい製品やサービスの多くは、企業がEMMプラットフォームに求める「主要なMDMコンポーネント」を備えている。
同社のEMMプラットフォームの主要コンポーネントにより、Microsoftは同社のエンタープライズ機能を余すところなく生かせるようになった。
「口では何とでもいえるが、重要なのはデータだ。適格なユーザーがデータにアクセスできて、不適格なユーザーはアクセスできないようなシステムを作る必要があった」とティファニー氏は述べる。
Microsoftの新たなプラットフォームは「非常に優れた製品スイート」であるように見えるが、Microsoftや他のEMMプロバイダーが企業に最適なサービスを提供できるようになるまでの道のりは遠いとロビンス氏は考えている。
「AirWatchのようにセキュリティで保護されたコンテンツを監視するサービスを提供している企業もある。素晴しいサービスだが、独立したサービスなので、まだ企業内での統合はなされていない」とロビンス氏は話す。
新しいEMMプラットフォームはWindows Server 2012 R2から利用できる。
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