メール環境をクラウド上に移すことでユーザーはさまざまなメリットを得られる。利用規模や用途によって異なるが、コストも大きく抑えられるだろう。
クラウドベースのメールサービスを使うことでIT部門のメッセージインフラストラクチャに関する作業負荷が軽減され、多くのメリットを得られる。従来、メールをクラウドに移行するのは容易ではなかったが、メールの移行作業を簡略化し、メールの管理、アーカイブ、セキュリティなどのサービスを提供する多数のツールが公開されたことで、作業負荷が下がっている。
コンテンツインフラストラクチャプロバイダーの米Metalogix Softwareは11月下旬、「Amazon Web Services」(AWS)対応の「Total Email Management」ツールを公開した。このツールでは、クラウドにデータをバックアップする企業向けにメールのアーカイブ、セキュリティ対策、移行、継続性などの機能を提供する。
このツールを使うことでユーザーは、メールデータをあらゆる場所からあらゆる場所へ移行できる。オンプレミス環境からクラウドに移行することも、クラウドからオンプレミス環境に移行することも可能だ。メールの暗号化や保護などのサービスも提供していて、ハッキングやマルウェア対策にも対応する。
Metalogix Softwareの広報担当者によると、メールのやりとりやアーカイブはMetalogix Softwareが責任を持って管理し、セキュリティやメールの継続性など、その他の側面についてはAWSで管理される。
企業が「Microsoft Exchange Server」などのオンプレミスのメールシステムからクラウドベースのメールシステムに移行している理由の1つは、自分たちでメールの管理作業を行う必要がないからだ。
「この傾向はさらに強まっている」と米Gartnerでリサーチディレクターを務めるアラン・デイリー氏は話す。「企業はCAPEX(資本支出)モデルからOPEX(運営コスト)モデルに移行することを望んでいる。これはごく自然な流れだ」
また、米IDCでストレージ部門プログラム担当部長を務めるローラ・デュボア氏は「(クラウドベースのシステムでは)全ての資本コストを負担する必要はなく、第三者に作業を任せることになる」とメリットを説明する。
Metalogix Softwareの価格設定は顧客のニーズによって異なる。メールシステム、ユーザー数、必要な容量(Tバイト)、具体的に必要な処理内容など、全ての要素が価格に反映される。同社の広報担当者によると、例えば、メールのアーカイブとセキュリティ、サーバセキュリティを利用し、「Windows Server」2台、「Microsoft SQL Server」1台、1Tバイトのストレージ、100人のユーザーとExchangeのサポートメンテナンスを1年間という契約内容では、月額使用料は1000ドルになる。
クラウドでメールのアーカイブサービスを提供するのは、Metalogix Softwareが初めてではない。米Sonianでもクラウドでメールのアーカイブサービスを提供しており、サービスのホストとしてAWSを利用している。米EMC SourceOneと米CommVaultでも同様のサービスを提供しているが、ユーザーがクラウドのアーカイブ先(AmazonまたはRackspace)を手動で選択しなければならない点が異なる。「SonianとMetalogix Softwareは、どちらもAmazonでサービスを提供している」とデイリー氏は話す。
ベンダーのサービスを利用してオンプレミスのデータをクラウドに移行すると、企業はさまざまなメリットを得られる。
「メールをアーカイブするメリットは、全てのメールのコピーを保存できることだ。削除したメッセージもアーカイブとしては保持されるので、削除したメッセージを後から確認できる」とデュボア氏は話す。
デイリー氏も「クラウドベースのメールを利用すると、オンプレミスのインフラストラクチャを使用する必要がなくなるため、コスト削減というメリットが得られる」と強調する。「アップグレードに関する心配もなくなる。管理費を考えると全体的なコストを抑えられる。また、製品の新機能をすぐ利用できようにもなる」
一方で、メールの移行とアーカイブについては、メールの開示が難しくなるというデメリットもある。米Storage Switzerlandでストレージとクラウドを専門としているアナリスト、コルム・キーガン氏は「訴訟で開示するメッセージを取り出すのに時間がかかることが懸念材料だ」と話す。
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