1700人の職員にiPhoneを支給した英国の老人ホーム。同社のMDM導入と独自アプリ開発事例から、デバイス管理やiPhone活用のヒントを探る。
老人ホームIdeal Care Homesを運営する英LNT Groupは、当初BlackBerryを導入していたが、全てApple製品へ切り替えた。
「私物のiPhoneやAndroidスマートフォンを使いたいという職員が急増していた。一方、老人ホームで働く職員が本部と双方向通信できるよう、全員に携帯電話を支給したいと会長は考えていた」。開発チームマネジャーのリー・エリス氏はそう説明する。
2011年12月、同社はiPhoneで統一するのが最善だと判断し、同年6月、1700人の職員に支給した。
セキュリティについても、「職員が何にアクセスできるかを規定したガイドラインを定める必要があった」(エリス氏)。そこで、文書によってはアクセスできる時間と場所を限定した。例えば、週末は文書へのアクセスが制限された。
「われわれは、ブロックしたいものがあるという制約と、そうしたセキュリティ対策によって生じる潜在的問題について考え始めた」と同氏は言う。セキュリティに関するほとんどの問題は、セキュリティ戦略を立案した時点では考慮されなかったものに、誰かがアクセスする必要が生じたときに発生する。
iPhoneの導入に当たって、どうやってアクセスを制限するかを検討した。この点でiOSには制約があることは同氏も認めている。「APIはあっても、エンドユーザーには簡単には設定できない」(同氏)
幸いなことに、インターネットで検索した結果、相当数のMDMソリューションがあることが分かり、サプライヤーも37社見つかった。「この中から自分たちの必要とするものを提供してくれる少数の業者に絞り込んだ」という。
機能セットについては、動的なライブインベントリが必要だった。それまでLNT Groupは100台の端末をスプレッドシートで管理してきたが、更新は手作業で行う必要があり、正確性を欠いていた。
各端末は、アップデートのような一般的なメンテナンスのために、IT部門が個々に実機を操作する必要があった。これには時間がかかり、人為ミスなどによって一貫性が保てない恐れもあった。
エリス氏によると、LNT Groupは管理性を向上させるため、iPhoneとのライブ接続を保てるMDMを必要としていた。「さらに、メールをiPhoneにプッシュ配信できる自動電子メール設定も必要だった。また、全ユーザーのiTunesアカウント設定に時間を取られることなく、アプリをプッシュ配信したかった」。情報流出防止対策も必要だった。盗まれたりなくしたりしたiPhoneにはMDMでロックを掛けたり、アクセスコントロール強化のためのパスコードを徹底する必要もあった。
エリス氏は37社から4社まで絞り込み、各製品の長所を検討した結果、Absolute Softwareの「Absolute Manage」を選んだ。その理由とは?
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