ツール選択が成功のポイント
失敗経験者が語る「Office 365」導入、どうすべきだったのか?
今、クラウドへの移行がIT担当者の悩みの種になっている。中でも「Microsoft Office 365」への大規模な移行は難題だ。だが、そこに救いの手が差し伸べられた。
IT担当者にとって、何千人ものエンドユーザーを対象とする移行作業は、虫歯や税務監査に次ぐ頭の痛い問題だ。どれだけ入念に準備しても、また、どんなに素晴らしい移行ツールを活用しても、変なことをするユーザーが少しでもいれば、大規模プロジェクトが頓挫しかねない。
「これまで、どんな移行もすんなりと進んだためしがない。いつも必ず問題が起こる」と語るのはインドWiPro傘下の米WiPro Technologiesでソリューションアーキテクトを務めるマイク・ドリップス氏だ。同氏はこれまでに何十件ものクラウド移行を手掛け、特に「Microsoft SharePoint」のクラウド移行に詳しい。「移行を始めてからユーザーのメールボックスに問題あるデータが見つかると、古いサーバでは何ともなかったのに、クラウドでは全てが中断してしまうことがある」とドリップス氏は続ける。
Office 365への移行の簡素化
ぎりぎりになって舞い込む要望のせいで、移行プロジェクト全体がうまくいかなくなる場合もある。「SharePointや『Microsoft Exchange』の(移行)プロジェクトを開始したときには何も問題がなくても、途中で全員のメールボックスを10Gバイトずつ増やしてほしいとか、逆に減らしてほしいといった依頼が入ってくることがある。急にそうした変更を行うと、移行作業に影響する」と、クラウド移行専門会社で働く匿名希望のエンジニアはいう。
多くの企業が大量のオンプレミスデータをこれからクラウドへ移行しようとする中、IT担当者のデータ移行についての悩みは今後も続くだろう。だが、ユーザーの悩みは開発会社にとっての好機でもある。米SkyKickもそうした開発会社の1つだ。同社の製品を利用すると、大勢のユーザーを、柔軟に、迅速に、低コストでOffice 365へ移行できるという。
SkyKickの関係者は、同社の新しい「Enterprise Migration Suite」を使えば、かなりの事前計画や専門知識を必要とするハイブリッド移行も効率化できるという。また、これによって、大量のデータとユーザーが関わり実装も管理も難しいカットオーバー移行も効率化できる。
SkyKickのこの製品に含まれているのは、プランニングツール「Migration Planner」、移行同期ツール「Migration Sync」、エンドユーザーのデスクトップ設定ツール「Outlook Assistant」、プロジェクト管理アプリケーション「Migration Manager」だ。
Enterprise Migration Suiteを利用すると、IT担当者は現場へ行ったり、「Active Directory Federation Services」をいろいろ操作したりしなくても、展開前プランを自動的に検出して分析できる。Migration Syncでは、エンドユーザーをExchangeから一斉に移行すること(カットオーバー移行)も、部門やグループごとに段階的に移行すること(ハイブリッド移行)も可能だ。同製品はExchangeだけでなく「Gmail」への移行にも対応する。サーバをアップグレードする必要はない。
「当社は、カットオーバー移行でもハイブリッド移行でも、必要な手順を全て自動化する手段を開発した。ほとんどのケースで通常より約80%の時間を節約できる計算だ」とSkyKickの共同CEOエバン・リッチマン氏はいう。
Outlook AssistantとExchange Assistantは、IT担当者が移行前のデスクトップ環境とネットワーク環境を評価する作業を支援する。これによって、組織のクライアントとサーバ両方のカスタム構成の大部分が自動化可能になる。最終的には、プロジェクト管理アプリケーションを使って、移行プロジェクトの追跡もできる。
SkyKickの関係者によると、平均的なケースにおいて、Office 365ユーザー500人分の移行を完了するには、販売サイクルからセットアップ段階まで一般におよそ320時間かかる。だが、このツールを使えば、それを70時間程度まで短縮できるという。
SkyKickの製品のような移行ツールは、IT要員の人数が限られ、期限が短い場合に特に重宝するだろう。米Portland Community Collegeでコンピューティングテクノロジーソリューションのプログラムアナリストを務めるリック・ゲッター氏は「特殊な要件がある場合、特に時間が限られている場合には、この種のツールは元が取れるだろう。他のところでもそうかもしれないが、教育機関のIT要員は一般業務用の人数しかいないため、大規模な作業には人手が足りない」という。SkykickのEnterprise Migration Suiteは、販売店やシステムインテグレーター(SIer)を通してのみ購入可能で、小中規模企業を対象とした同社現行ツールの後継版となっている。
SIerの米New Signatureは最近、1000人以上のエンドユーザーを抱える金融サービス会社をOffice 365へ移行するのに、SkyKickの移行ツールを利用した。New Signatureのクリス・ハーツCEOによれば、このプロジェクトは複雑で、短期間での完了が要求されたそうだ。同氏はこれまでに他の移行ツールも利用したことがあるが、SkyKickの移行スイートの方が効率的で使いやすかったという。このツールでは、サービスデスクの仕事を削減でき、顧客のIT部門の移行作業を効率化できるからだ。「中規模の顧客企業には、大きなサービスデスクやIT通信プロセスがないことも多い」とハーツ氏は語る。
市場で入手可能なOffice 365移行ツールとしては他に、米Dell Software、米Microsoftなどのものがある。SkyKickの関係者は価格の詳細を明らかにしなかったが、同社のWebサイトによれば、パートナーを通した価格は通常、50ユーザー未満でメールボックスごとに100~200ドル、100メールボックスではメールボックスごとに80~120ドルとなっている。同社関係者の話では、移行が完了するまで料金は請求されないとのことだ。
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