認証手段の標準として君臨してきたID/パスワード認証が、転換点を迎えている。“パスワード限界論”もささやかれる中、企業はどのような認証の姿を目指すべきなのか。まずは認証を取り巻く現状を整理する。
20XX年のある日。セキュリティシステムで厳重に警備されたビルの中を1人の男が進む。厳重なセキュリティに守られた扉に到達するたびに、セキュリティカードをかざしたり、静脈や虹彩を認証したりしながら、高度なセキュリティシステムを次々に通過していく。たどり着いたコンピュータルームで、男はシステムコンソールに向かう。そこで待っていたのは、ID/パスワードの入力だった――。
ID/パスワードを中心とした認証を再考する動きが現れつつある。その背景には、ID/パスワード認証の弱点を突く攻撃が活発化してきたことがある。一方、米Microsoftの次期OS「Windows 10」にも採用が予定されているユーザー認証仕様「FIDO(Fast IDentity Online)」など、ID/パスワードに変わる新たな認証技術も充実し始めた。
最新の認証技術が充実した近未来では、ID/パスワードとは別の認証手段が普及している可能性は高い。だが一方で、冒頭で述べたように、最終的なシステムへのログインに必要な認証手段としてID/パスワード認証が残ることは大いにあり得る。ITの黎明期から現在まで、ITシステムの入り口の保護はID/パスワードが担ってきたことは揺らぎようのない事実である。それを根本から変えるとなれば、システムに相当の影響を与えることになり、決して容易ではないからだ。
ID/パスワードの課題が顕在化する中、企業はシステムの認証を取り巻く課題にどう対処し、どのような認証基盤の在り方を目指すべきなのか。本連載では、ID/パスワードが直面する課題を整理しつつ、その具体策を探っていく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年3月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
Cookieレスの時代 「リターゲティング広告」にできることはまだあるか?
プライバシーの在り方が見直されようとしているこの変革期をデジタル広告はどう乗り越え...
ドン・キホーテが「フォートナイト」に登場 狙いは?
「フォートナイト」のインタラクティブな体験を通じて、国内外の若年層や訪日観光客との...