認証手段の標準として君臨してきたID/パスワード認証が、転換点を迎えている。“パスワード限界論”もささやかれる中、企業はどのような認証の姿を目指すべきなのか。まずは認証を取り巻く現状を整理する。
20XX年のある日。セキュリティシステムで厳重に警備されたビルの中を1人の男が進む。厳重なセキュリティに守られた扉に到達するたびに、セキュリティカードをかざしたり、静脈や虹彩を認証したりしながら、高度なセキュリティシステムを次々に通過していく。たどり着いたコンピュータルームで、男はシステムコンソールに向かう。そこで待っていたのは、ID/パスワードの入力だった――。
ID/パスワードを中心とした認証を再考する動きが現れつつある。その背景には、ID/パスワード認証の弱点を突く攻撃が活発化してきたことがある。一方、米Microsoftの次期OS「Windows 10」にも採用が予定されているユーザー認証仕様「FIDO(Fast IDentity Online)」など、ID/パスワードに変わる新たな認証技術も充実し始めた。
最新の認証技術が充実した近未来では、ID/パスワードとは別の認証手段が普及している可能性は高い。だが一方で、冒頭で述べたように、最終的なシステムへのログインに必要な認証手段としてID/パスワード認証が残ることは大いにあり得る。ITの黎明期から現在まで、ITシステムの入り口の保護はID/パスワードが担ってきたことは揺らぎようのない事実である。それを根本から変えるとなれば、システムに相当の影響を与えることになり、決して容易ではないからだ。
ID/パスワードの課題が顕在化する中、企業はシステムの認証を取り巻く課題にどう対処し、どのような認証基盤の在り方を目指すべきなのか。本連載では、ID/パスワードが直面する課題を整理しつつ、その具体策を探っていく。
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