端末や場所、時間を問わず、従業員が作業できるようになれば、企業はより生産性、効率、満足度の高い環境を実現できる。そのため、モバイル端末にアプリケーションを配備する方法を再検討する重要性が高まっている。
企業がモバイル化を済ませていなかったり、モバイル化について検討すらしていない基幹ビジネスアプリケーションは多数ある。そのようなビジネスアプリケーションのモバイル化が現実味を帯び始めているのだ。
クライアントPCからモバイル端末へアプリケーションを移行するアプローチは複数存在する。現時点で、ひときわ人気が高いのは「リファクタリング」だ。これは、モバイル端末にアプリケーションをストリーミングし、タッチ操作向けにUIの一部を調整するプロセスである。もちろん、シンプルなアプリケーション仮想化でも十分なメリットを享受できる。
こうしたアプローチの最も分かりやすいメリットは、データ漏えいのリスクを大幅に緩和できることだろう。情報は、従業員のモバイル端末ではなくデータセンターやクラウドに保存することになる。ID管理とアプリケーション仮想化を組み合わせて、どのアプリケーションに誰がいつアクセスしたのかを追跡すれば、セキュリティの大幅な強化が可能だ。
米Microsoftの「SharePoint」や米Oracle製品、独SAP製品など、豊富なメニューを備えたアプリケーションをモバイル端末で使用することは、極めて難しいといわれてきた。長い間、この類のアプリケーションでは、開発者がモバイル端末向けにアプリケーションを再構築しない限り、必要なレベルの操作性を実現することは、ほぼ不可能だったからだ。
最近では、米Citrix Systemsや米VMwareなどの仮想化ベンダーが、IT部門がWindows用基幹アプリケーションのモバイル端末向けフロントエンドを開発する一助となる、ソフトウェア開発キットを提供している。Citrixに至っては、米Appleの「iPhone」「iPad」でのWindowsアプリケーション利用を最適化する「Citrix X1 Mouse」という専用マウスを発売している。
ベンダー各社は、製品にGPUアクセラレーションを組み込む点でも大きく進歩している。現在では、Microsoftの「Microsoft Office」をはじめとする主要アプリケーションを仮想化し、ネイティブに近いパフォーマンスで実行できるようになっている。建設、医療、エンジニアリングなどの業界では、高度なグラフィック処理能力が必要なアプリケーションを使用することが多い。GPUアクセラレーションは、アプリケーションの操作性を充実させて高速化することで、その真価を発揮する。
仮想化やストリーミング技術が今後も進化し続けるならば、高度なグラフィック処理能力が必要な複雑なレガシーアプリをモバイル化する企業がさらに増えるだろう。
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