ソフトウェアでiPhoneを凌駕できる?
サムスンは逃げるAppleの“尻尾”に触ることができるのか
韓国Samsung Electronicsは、モバイル部門のトップを交代した。彼に与えられた任務はハードウェアではなくソフトウェアでGalaxyがAppleのiPhoneを凌駕すること、というが?
今や韓国Samsung Electronicsの業績は米Appleから大きく引き離されてしまった。それに伴い、株価も大幅に下落している。こうなると、Samsung Electronicsのだれかが責任を取らざるを得ない。
その具体的な動きが今週起きた。6年間にわたって同社モバイル部門の指揮を執ってきたシン・ジョンギュン氏に代わる責任者として新たにコ・ドンジン氏が就任した。ドンジン氏は、これまで「Samsung KNOX」および「Samsung Pay」の開発を統括していた。
AppleとSamsungのコンシューマ向けスマートフォンは、共にユーザーを増やしており、かつ「BYOD」(私的端末の業務利用)の拡大によって企業のIT部門は「iOS」と「Android OS」の両方をサポートする必要に迫られるまでになっている。しかし、ここ数年、Samsungは自社のスマートフォンを競合製品と差別化できないために、モバイル事業は苦しい立場に立たされている。
併せて読みたいお薦め記事
Galaxyシリーズ最新動向
- 「iPad Air 2」を愛する者は「Galaxy Tab S2 9.7型モデル」も愛せるか
- 徹底比較:「iPhone 6s Plus」が唯一「Galaxy Note5」に劣る点と、それでも揺るがない結論
- 企業ユーザーは「Galaxy」よりも「iPhone」、Samsungはどこで道を誤ったのか?
- 徹底比較:iPhone 6 Plus vs. Galaxy S6 edge+、新iPhone登場前に注目したいその“お得さ”
- 「Nexus 9」対「Galaxy Tab A」はまさかの接戦 大画面Androidタブレットの王者は?
- 徹底レビュー:曲面ディスプレー「GALAXY Note Edge」は意欲作だが、完成度に難?
Samsungのスマートフォン「Galaxy」シリーズは、これまでAppleの「iPhone」に対して、ディスプレイサイズで明確な違いを打ち出していたが、大画面ディスプレイを搭載する「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」が2014年9月に登場したことで、GalaxyシリーズがiPhoneシリーズに対して持っていたアドバンテージを失ってしまった。
スマートフォンのスペック以外でも、Samsungが優位性失う兆しを見せている。それが、企業導入で有効なモバイル端末となるための取り組みだ。Apple、Samsung両社とも企業への導入を推し進めており、そのために必要なパートナー戦略を重視している。
AppleがiOS、iPhone、iPadをモバイル事業でさらに有力なデバイスとするため米IBMや米Cisco Systemsのような企業と連携している間に、SamsungはカナダBlackBerryと提携し、BlackBerryの暗号技術を統合してSamsung KNOXをより強力なセキュリティソリューションにした。さらに、SamsungとBlackBerryはIBMと共同して、大企業および政府機関に狙いを定めたタブレットデバイス「SecuTABLET」を3月に発表している。
「多くの従業員が自分が私的に使っているスマートフォンを職場に持ち込むだろう。Samsungは、このようなユーザーの要求と呼応し、コンシューマ市場向けのSamsung製品が企業でも広く使ってもらえるようにするため、Samsung KNOXおよびBlackBerryとの提携で企業内利用の対応を進めようとしていた」と、米J. Gold Associates LLCの創立者でありプリンシパルアナリストであるジャック・ゴールド氏は語っている。「しかし、Samsungのビジネスにおいて法人向け市場の取引は、依然としてわずかな割合でしかない」
ソフトウェアの技術革新でSamsung Electronicsで生き返るか
Samsungは米Microsoftが行ったのと同じ方法で自社のモバイルビジネスを刷新し、コンシューマ市場だけでなく法人向け市場においてもSamsungの製品を選択する理由を用意する必要があるだろう。
ドンジン氏にソフトウェア事業の経験があることで、Samsungはハードウェアよりはむしろソフトウェアでモバイルビジネスを差別化し再生できる可能性がある、と米Technology Business Researchの産業アナリストを務めるジャック・ナルコッタ氏は述べている。
「一般的に考えて、幹部スタッフの異動は、Samsungがモバイル事業を立て直すためにしなければならないことをどのように考えて評価しているのかを浮き彫りにする」とナルコッタ氏は続ける。
米IDCによれば、2012年までSamsungは、世界のスマートフォン市場の32.2%を支配していた。しかし、その後に登場した同社のフラッグシップスマートフォンの「Galaxy S5」と「Galaxy S6」は以前のモデルほど歓迎されず、シェアは23.8%まで下落した。
Samsungの課題は、自社デバイスを差別化するために何をすればいいのかを検討するマーケティング戦略にある、と技術分析を行う米Moor Insights&Strategyのプリンシパルアナリストであるパトリック・ムーアヘッド氏は述べる。
「Samsungの状況を好転するには、コンシューマユーザーをもっとよく理解し、今まで気が付いていなかった問題を解決し、揺らがない一貫した製品コンセプトを市場に提案する必要がある」とムーアヘッド氏は続ける。
Samsungのモバイル事業は、同社で最も大きな収益を上げる部門だ。それ故に、モバイル事業の低迷が、Samsungの利益がここ数年で最低となってしまった原因でもあった。その中にあってSamsungの半導体部門は、モバイル事業の損失をくい止める方法を模索しながら、最も速く成長した事業だ。
しかし、ムーアヘッド氏は「Samsungが示す『答え』は毎年異なっているように見受けられる。これは、Sansungが問題を解決するために何をすべきなのかについて、出した答えに確信を持てていないように見えてしまう1つの原因になっている」と評価する。
この1年におけるSamsung幹部の入れ替わりは激しかった。2014年12月に、Samsungは、「Galaxy S5」「Galaxy Note 4」「Galaxy Note Edge」の業績不振を受けて、シニアバイスプレジデントやエグゼクティブバイスプレジデントを含むモバイル部門の上級幹部を何人か解雇した。Appleに対抗できる「次のすごいものはもうここにある」(The next big thing is here)という広告キャンペーンなどでAppleに対抗できる成果を数多く挙げたSamsung Mobile CMOのトッド・ペンドルトン氏も、2015年3月、Galaxy S6の発売1カ月前に退職している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品レビュー
「電子帳簿保存法対応」実践術:タイムスタンプ付与などの要件の手軽な実現方法 -
事例
「大企業のデジタル化」成功事例集【コクヨ、九州電力、ヨネックスなど21社】 -
製品資料
“顧客管理の課題”を簡単に解決する方法とは? -
製品資料
契約管理の“あるある課題”をノーコード開発で解決するためのポイント -
製品資料
揺らぐ境界防御 いま企業が特に警戒すべき「3つのセキュリティ課題」とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
2
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
3
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
4
継続利用は4割どまり M365 Copilotが「効く業務」と期待外れの境界
-
5
画面をティッシュで拭くのはNG Dellが推奨するPCの正しいお手入れ方法
-
6
メインフレームは死なず AI活用で20年来の高収益をたたき出す基幹システムの底力
-
7
「法人PCの導入」に関するアンケート
-
8
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
9
「GitHub Copilot」3000人に配布も基本機能しか使われない 保険大手が得た教訓
-
10
業務引き継ぎで困ったこと 大企業200人調査で判明した課題の第1位は
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
4
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
7
「結局、一部の人しか使わない」 AI活用が業務に定着しない根本的な理由
-
8
AIエージェントで成果は出る? 調査結果に見る費用対効果の実態
-
9
PostgreSQLの「機能」「性能」「運用」「拡張性」に関する悩みの解消法
-
10
ゼロトラストにおける「IDaaSの課題」と補完すべき重要機能とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー