今度こそ会計業務のペーパーレス化【第1回】
電子帳簿保存法改正、スキャナー保存できる文書とは?(1/2 ページ)
2015年の税制改正で電子帳簿保存法におけるスキャナー保存制度の要件が緩和され、2016年1月1日に新基準の運用が始まった。連載第1回では、この法改正で何がどのように変わったのかを詳しく解説する。
連載について
本連載では、会計/IT領域の豊富な経験を持つ公認会計士が、2015年度電子帳簿保存法改正の要点を解説する。2016年1月からの新基準および今後の改正予定の内容をふまえ、会計業務のペーパーレス化に必要な中堅・中小企業向けシステム選定のポイントと、証憑(しょうひょう、領収書や契約書など)の電子保存をスムーズに運用するコツを紹介していく。
電子帳簿保存法改正の背景――規制緩和で何を目指すのか
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電子帳簿保存法は、課税文書(契約書や受取書など、印紙税が課税されるもの)となる「帳簿」や「書類」の電子化を容認し、徴税事務を簡素化することを目指す法律として1998年7月に制定された。その後2005年3月の改正(同年4月施行)を受け、一部の紙で作成された書類についてスキャナー保存できる制度が導入されている。しかしスキャナー保存の要件が厳格過ぎたことから普及が進まず、電子帳簿保存法の目指す姿は容易に実現されてこなかった。
2015年1月に閣議決定された「平成27年度税制改正の大綱」においてスキャナー保存制度の厳格な要件が緩和され、従来よりも多くの企業が適用しやすい環境が整備されつつある。
国税庁によれば電子帳簿保存法は、2009年の税制改正の一環として「適正公平な課税を確保しつつ、電子保存によるコスト削減等を図る」ことを趣旨とする。これは一義的には「税務調査業務の効率化」すなわち税務調査が実施されたときに効率的に作業が進められるよう、事業者が関連資料を俯瞰的、網羅的に保存することを目指しているといえる。事業者側の文書管理コストの削減を目指す制度ではあるが、投資対効果を想定して導入しなければ、導入コストに比してメリットが少ない結果になりかねないので注意が必要だ(導入プロセスについては第2回で詳述する)。
電子帳簿保存法で想定する書類の範囲
では、具体的にどのような書類が電子帳簿保存法の対象となるのかを俯瞰してみよう。法人税、消費税、所得税などの法令等で備え付けや保存が義務付けられている文書は紙での保存を原則としている。これらを電磁的記録(すなわちデータ)により保存することを認めるのが電子帳簿保存法である。同法で想定する書類・データは、大きく以下に分類される(太字は筆者による)。
- 国税関係帳簿
- 国税関係書類
- 電子取引に係る電磁的記録
このうち「国税関係帳簿」「国税関係書類」は、従来は紙での保存が前提だったものを事前の承認手続きを経ることで電子的に保存することを「容認」したものだ。一方の「電子取引に係る電磁的記録」は、発生から消滅までの一連の取引を全て電磁的に保存することを義務付けたもの、という違いがある。
国税関係帳簿は、「その全部又は一部について、自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用し作成」(電子帳簿保存法第4条第1項)する帳簿のことであり、データ入力段階から会計帳簿段階に至るまで全てコンピュータで処理することを想定する書類である。例えば以下のものがある。
- 仕訳帳(原則として全て保存)
- 総勘定元帳(原則として全て保存)
- 補助簿(必要なものについて保存)
国税関係書類は、経理事務の過程で生成された各種書類であり、具体的には以下のものがある(太字は筆者による)。
- 決算関係書類(決算作業に際して作成された書類)
- 貸借対照表、損益計算書、棚卸表、その他決算書類など
- 取引関係書類(取引の過程において作成された書類)
- 会社が発行した契約書、請求書、見積書、領収証など
- 会社が受け取った契約書、請求書、見積書、領収証など
これらについては、以下のいずれかの申請をすることで電磁的な手段で保存することが可能になる(太字は筆者による)。
- データ保存の申請(データとして作成された書類をそのまま保存)
- スキャナー保存の申請(紙で生成された書類をスキャンし、データとして保存)
電子取引に係る電磁的記録は、EDI(Electronic Data Interchange、電子データ交換)やインターネットを介した商取引(Eコマース)においてやりとりされた取引情報を電子データとして保存したものだ。取引のときに受領、または交付する「注文書」「契約書」「送り状」などを指す。
このようなデータについて、電子帳簿保存法では電磁的記録を7年間保存することを義務付けており、保存の際には電子署名やタイムスタンプの付与など一定の要件が求められる。
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今度こそ会計業務のペーパーレス化
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