もっと速く、もっと小さく、もっと安く──2016年注目のフラッシュテクノロジーSSDだけではないフラッシュストレージ

SSDやPCIe SSDの形で普及が始まったフラッシュストレージは今、実装方法の多様化によってさらなる改善が図られている。2016年、フラッシュストレージはどのような進化を遂げるのか。

2016年05月27日 08時00分 公開
[Chris EvansComputer Weekly]
Computer Weekly

 NANDフラッシュ技術は、1980年代には市場に登場していた。これがエンタープライズ向けストレージに採用されるようになったのは8〜10年前からだ。

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 これまでのフラッシュストレージは、従来のドライブ形式のSSDまたはPCIスロット用アドインカードとして機能するPCI Express(PCIe) SSDが主流だった。しかしフラッシュストレージ市場の成長に伴い、この主流から外れた領域でもさまざまな実装技術や手法が見られるようになった。その中には、今後数年のストレージの方向性という点で興味深いものも多い。以下でそのいくつかを紹介する。

DSSDとMangstor

 フラッシュの当初のセールスポイントは、スループット(1秒当たりの転送MB値)またはIOPS(1秒当たりの入出力処理回数)で表される処理速度で、どちらにおいても低レイテンシを実現していた。主要な数値としては通常、最大100万IOPSでレイテンシは1ミリ秒を切っていた。

 フラッシュがエンタープライズ市場に投入された当時、これらの値は信じ難いレベルだった。そこで業界内では、入出力(I/O)については「過剰性能」であり、実際には十分に生かしきれないという議論がにわかに巻き起こった。

 しかし時が流れて、ムーアの法則に沿った製品の進化は継続し、それと連動してプロセッサとメモリの処理速度も向上し続けた。その結果、全く新しい仕組みのストレージシステム、超高速処理装置を求める声が高まった。

 超高速処理システムは、DSSD(2014年にEMCが買収。現在はEMCの一部門)やMangstorといった新興企業が開発し、極端な高スループットと低レイテンシを実現したニッチな市場を作り出した。

 例えばMangstorはレイテンシについて、110マイクロ秒(読み取り時)および30マイクロ秒(書き込み時)を実現したと主張している。この数値は、現在のオールフラッシュアレイと比べても桁違いに速い。この装置1台だけで最大300万IOPSを達成できる。

 EMCは2016年3月、いわゆるラックスケール型のフラッシュ製品である「DSSD D5」を発売した。これは1000万IOPSと100マイクロ秒前後の平均レイテンシを達成した。容量は144TBで、5Uのラックスペースを使用する。DSSD D5はPCIe(Gen3)スロット接続を使うNVM Express(Non-Volatile Memory Express:NVMe)メッシュを搭載しており、1台最高48台のサーバをサポートする。

 このレベルの性能を実現するには、独自のアーキテクチャ(DSSDはカスタムフラッシュモジュールを採用し、Mangstor製品はカスタムPCIe SSDを実装する)と、新しいモードでのネットワーク接続の両方が必要になる。

 この種の装置はファイバーチャネルやイーサネット経由の接続ではなく、RDMA(Remote Direct Memory Access)経由のNVMeやPCIeなどの低レイテンシプロトコルを採用している。従って、この装置は柔軟性と拡張性を犠牲にしている。

 このプロトコルはケーブルの延長距離に制約があるため、もっぱらポイント・ツー・ポイント接続の実装に使われる。20年前のSCSIによく似ている。また、ここまでの高性能を実現するために、かつてのアレイに搭載されていた高度な機能(データ保護など)は通常そぎ落とされている。

 超高速処理装置は、金融やアナリティクスの分野で利用されている。こうした分野では、I/O要求のレイテンシが特に重要になるからだ。通常のIT組織でこの装置を採用する可能性は高くない。

NVDIMM

 高速なアレイを構築する代わりに、ストレージをプロセッサの物理的に近い場所に配置し、I/Oの通信距離を縮める方法がある。

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