SSDを過去に追いやる「次世代メモリ技術」がHDDの追い風になるその性能は全てに置いて「1000倍」(2/2 ページ)

2016年07月14日 15時00分 公開
[Rich CastagnaTechTarget]
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レイテンシがかつてないレベルに

 IntelとMicronの3D XPoint開発担当は、この技術がNANDフラッシュよりも約1000倍高速で耐久性も1000倍高いとアピールする。

 一方、IBMの研究者は、1セル当たり3ビットのデータを保持できる方法の発見で、PCMのブレークスルーを達成したと説明している。NANDフラッシュの場合と同様に、これは大容量化とコスト削減による「入手しやすい価格」の実現につながる。IBMは、3D XPointで宣伝しているようなレベルとは異なるが、「PCMは、データの読み書きともNANDフラッシュより数百倍高速だ」と述べ、耐久性についても「1000万回の書き込みに対応できる見込みだ」と説明している。

新しい用語で呼ばれる新メモリ

 それらの技術がもたらす驚異的な性能値をすぐに理解するのは難しい。ユーザーの多くは、ようやくNANDフラッシュストレージの高い性能を整理して理解しようとしている段階だからだ。しかし、これらの新しい技術は、現在使っているソリッドステートストレージの技術とは根本的に異なっている。こうした新技術を「ストレージクラスメモリ」という新しい用語で呼ぶ関係者も増えている。やや奇妙に感じるが、かなり正確で適切な表現といえる。

 ストレージによるメモリ領域への進出は、数年前に最初の製品が登場したDIMMベースのソリッドステートストレージから始まった。その1つ、Viking TechnologyのDIMMスロットフラッシュは、メモリとストレージの考え方にあるギャップを埋める興味深い製品だったが、実体は、Serial ATAインタフェースに対応するフラッシュを搭載したDIMMだった。

 またDiablo Technologiesは、「Memory Channel Storage」でそのコンセプトを一歩推し進め、サーバプロセッサのメモリチャネルを介してフラッシュストレージにアクセスできるようにした。「NVDIMM」や「不揮発性DIMM」と呼ぶこの技術は、サーバメモリのミラーリングを簡単に実現できた。DRAMの電源が切れても、キャッシュしたデータやアプリケーションをほぼ瞬時に回復できるようになっていた。

階層化メモリと新しいストレージモデル

 ソリッドステートストレージは、HDDにはできない作業、少なくとも、許容可能な速度ではできない作業を行っている。IBMやIntel/Micronの技術開発に関する動きから、将来的にストレージリソースとメモリの境界はなくなる見通しだ。ユーザーが必要とする処理能力は今後も急激に高くなることから、メモリの階層化(ティアリング)と拡張も可能にする必要があるだろう。その場合、DRAMに匹敵する速度にならないだろうが、コストは現在のシステムメモリモジュールより安くなるはずだ。インメモリやメモリに相当するリソースでより多くの処理が行われるようになり、サーバが永続ストレージからデータをフェッチする回数は少なくなるだろう。

 このようにソリッドステートストレージの役割が拡大することは、HDDメーカーにとって追い風になりそうだ。結局のところ、データは全てどこかに置かなければならない。最新の大容量NANDフラッシュデバイスが置き場になるかもしれないが、はるかに大容量のHDDでも、わずかなコストで同じことが可能だ。

 ソリッドステートストレージのこうした新展開は、ユーザーにとってどんな意味を持つだろうか。現在のストレージ構成が円滑に機能していて、サーバやネットワークのパフォーマンスをサポートしている(または、サポートしてなお余力がある)場合は、こうした新展開は特に意味はない。だが、NANDフラッシュ技術がパフォーマンスをサポートしきれていない場合、辛抱強く待っていれば、新展開の恩恵を受けられるだろう。

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