アプリで電話番号URLをタップしただけでトラブルに?
Apple「WebKit」の脆弱性を悪用してスマホから勝手に電話、その手口は
Appleの「WebKit」フレームワークの脆弱(ぜいじゃく)性を悪用すると、被害者のスマートフォンアプリから電話を発信させることが可能になる。この攻撃の仕組みを、専門家が解説する。
ある研究者の報告によると、Appleの「WebView」を組み込んだモバイルアプリには、電話を勝手に発信させるDenial of Service(DoS)攻撃を受ける危険性があるという。これを悪用したリンクをソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の「Twitter」に投稿し、そのリンクをクリックした人たちの端末から緊急電話センター911に大量の電話を発信させた人物が逮捕された。WebViewのこの問題はどのように悪用されるのか。
HTMLレンダリングエンジン群「WebKit」のフレームワークでは、「iOS」用アプリの開発者がWebコンテンツを表示したり、一般的なブラウザ機能(ハイパーテキストリンク処理やページの閲覧履歴管理など)を実装したりできる。複雑なWebページロード処理を簡素化できるのでとても便利だ。
WebKitフレームワークの表示用コアクラスであるWebViewでは、コンテンツのスタイルやレンダリングを効率的に処理でき、Twitterやビジネス向けSNSの「LinkedIn」など数多くのアプリで利用されている。
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モバイルセキュリティ担当者が知っておきたいこと
WebKitフレームワークではこれまでにさまざまな脆弱(ぜいじゃく)性が判明しており、今回の問題は2008年にセキュリティ研究者のコリン・ミュリナー氏がAppleに報告した問題の再発とみられる。攻撃者がこれを悪用すると、被害者の端末から特定の電話番号に自動発信させることができる。
悪用の手順は簡単だ。被害者を特定のWebサイトへ誘導し、そのサイトに単純なHTMLコードを埋め込んで電話番号URI(tel URI)にリダイレクトさせるだけでいい。
ミュリナー氏によると、本来なら、tel URIのロード時にはその番号に発信するかどうかをユーザーに尋ねるダイアログボックスを表示するという。ところが、次のような場合は、ユーザーにダイアログで確認することなく自動的にtel URIを開けるようになることをミュリナー氏は発見した。
- tel URIをHTMLのiframeやframeのソースとして指定する
- meta refreshのURLやHTTP 30xのリダイレクト先に指定する
- JavaScriptで現在のウィンドウまたは新しいウィンドウの場所として使用する
また、同氏の説明によれば、攻撃者が被害者の端末に第2のアプリを表示して電話アプリの画面を隠すことで、被害者は発信をキャンセルすることもできなくなる。TwitterとLinkedInに対する攻撃を実演した動画では、自動発信している間、ユーザーインタフェースを全く操作できなくなる様子を見ることができる。
この脆弱性には、プログラミングの問題、WebKitフレームワークのデフォルト動作の問題、tel URI処理の潜在的バグが重なっている。簡単に悪用可能であるため、コンテンツ表示にWebViewを利用しているアプリ開発者は早急にコードを調べ、この攻撃を受ける危険がないかを確認する必要がある。モバイル版ブラウザの「Safari」や「Chrome」でリンクを開くアプリはこの攻撃を受ける危険はない。WebViewを利用するアプリでは、URLスキーマを実行前に確認し、tel URIを実行したり別のアプリを開いたりする場合はその前に確認用のポップアップダイアログを表示するようにコードを記述することが必要だ。
アプリ側がこの攻撃への対策を講じ、AppleがWebViewのデフォルト動作を修正するまでは、悪意あるサイトや侵害されたサイトでこの脆弱性が悪用される危険性がある。例えば、これを悪用して被害者のスマートフォンから有料電話番号に発信させたり、911緊急電話サービスなどにDoS攻撃を仕掛けたリ、ユーザーの電話番号を盗み取ったりするといった手口に注意が必要だ。
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