システム化が進み従業員に関する人事データの量が増大している。このデータを分析して、従業員の生産性向上に役立てる動きが広がっている。
人事部門には企業のパフォーマンスや従業員の生産性を向上させるための新しいデータソースやツール、調査手法があふれかえっている。しかし、このデータの意味を理解し、結果を生むフィードバック体制を構築するのは簡単ではない。
サンフランシスコで開催されたWork Rebooted Conferenceにおいてインタビューを受けた専門家は、「人事データアナリティクスを使用して従業員のエンゲージメント(会社への帰属意識)や生産性を向上させるためのベストプラクティスを探った」と答えた。専門家は、特定のチームや役割に対し、従業員のエンゲージメントの調査方法や測定方法を最適化したり、新しい取り組みを調整したり、エンゲージメントの本当の意味を理解したりすることを勧めている。
「ほとんどの調査方法は専門家向けとしてはお粗末だ」とバイオテクノロジー企業であるGenentechのピープルアナリティクス統括担当者、チェース・ローバトム氏は言う。「あらゆる部署にぴったりなソリューションはない。科学的に調査結果の信頼性が著しく疑われるような場合でも、営業担当者は概して満足している傾向がある」
ローバトム氏はまた、さまざまなエンゲージメントや企業文化の調査に関してデータのみが先行してしまうことを懸念している。調査業者は、データの利用は従業員の匿名性を守るためであり、これによってより正確な結果が得られると主張している。しかし、ローバトム氏は、データが原因で、結果の解釈やツールの適正さの判断がより難しくなると感じている。
人事データアナリティクスを行う別の方法としては、全社で個人の行動を分析する方法がある。コールセンターにおける受話回数、または、打ち込んだコードの行数、新しい訓練プログラムを経験した個人の人数などが分析対象だ。
これらは全て簡単に測定できるが、その調査結果の価値は限定的だ。「企業は、成果を残すために必要なことのうち、その障害となる結果を測定しない傾向がある」と、訓練サービスのプロバイダー会社でありコンサルタント会社であるExecCampの創業者兼CEO、バリー・オライリー氏は言う。
例えば、会社がより良い文化を構築しようと思うなら、企業の目標に対して企業文化がどのように関係するかを分析することがより効果的だ。これには、ソフトウェア配布の速度、または、自社への入社希望者数、顧客満足度などの指標が含まれるだろう。
企業が間違った測定指標に焦点を当てていると、コストが増加する可能性がある。例えば、コールセンターの待ち時間を減らす取り組みを実施すると、需要に対する間違った対応につながり、その結果、折り返し電話の受話回数が増える、または、顧客満足が低下するケースがある。企業は顧客の問題を解決するために過剰なコストが必要になるだろう。「結果として表れる指標に重点を置くよりも、顧客からのコールを受ける度に問題を解決しておくことが目指すべき目標となる」とオライリー氏は言う。
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