ノートPCの置き換えは可能か
iPad Proを仕事で使って納得する人と不満な人の違い
Appleの「iPad Pro」が常に企業での使用に耐えられるとは考えない方がよい。ITプロフェッショナルは、まず、デスクトップPCやノートPCの代わりにiPadを使用するのに適した環境を検討すべきだ。
Appleの「iPad Pro」は仕事に使うのに適しているかもしれないが、問題解決の特効薬ではない。そのため、ITプロフェッショナルはiPad Proが最適に機能するユースケースを見極めなければならない。
タブレットの究極の目的は、ノートPCに取って代わることだろう。そのため、タッチスクリーンやペンを擁してポータビリティーを持たせ、デスクトップが実現できるオフィスの生産性タスクを全て実行できるアプリを組み合わせている。そして全てがWi-Fiを使ってシームレスに機能する。
特定のユースケースでは、iPad Proが取って代わる可能性がある。だが、ノートPCの処理能力を必要とするユースケースもわずかにある。とはいえ、iPad Proのスペックは、基本的なノートPCにほぼ匹敵する。
iPad Proは2015年にAppleがストレージを増量し、プロセッサを高速にし、画面解像度を上げて以来、あまり変わっていない。だが、オフィスソフトウェアや電子メールを使用して日常業務の大半を処理するだけの堅牢さを備えている。
変化している職場
そこで、iPad Proのスペックがビジネスユーザーのニーズを十分に満たし、その価格もITプロフェッショナルとして容認できるとしよう。では、ここ数年、職場では変化が起きているだろうか。答えはイエスだろう。Appleの「Apple Pages」、Googleの「Googleスライド」、Microsoftの「Microsoft Office」など、Apple、Google、Microsoftが提供するモバイル向け生産性向上ソフトウェアによって、エンドユーザーは自身が利用するアプリを使ってオフィスソフトウェアの全てのニーズに対応できるようになっている。
iPadの制限事項の1つは、多くの場合、HDMIアダプター経由でしかプレゼンテーションを表示できないことにある。だが、企業の多くのオフィスは最新の会議室を用意し、HDMIコードやAppleの「Apple TV」を備えたテレビやモニターに接続できるようになっている。ちなみに、Apple TVは接続にAirPlayを使用する。
Web会議ソフトウェアアプリにより、iPad Proのユーザーは会議に参加できる。だが、これらのツールはここ3年大きく改善されていない。そのため、デスクトップを利用しなければ会議の共有は困難になる。
「Box」など、クラウドストレージアプリにより、エンドユーザーは大きなファイルを保存し、どこからでも資料にアクセスできるようになった。「Slack」などのコラボレーションアプリ、「Workday」などの人事アプリにより、ユーザーは数年前には利用できなかった多くのエンタープライズ機能にアクセスできるになった。
こうしたアプリの多くは、提供企業がモバイル優先のデザインに力を入れているため、デスクトップやノートPCよりもモバイルデバイスで適切に機能する。iOS 11によるマルチタスキングは、実際には2台のモニターを使用するよりも効率が良い。
iPad Proを仕事に利用することでメリットが得られるのは以下のような従業員だ。
- 経営幹部:ノートPCを開いている時間がない経営幹部は、オフィスの基本機能や電子メールの操作にiPad Proを使用できる。
- 営業担当者:営業担当者は、携行できるデバイスを必要とする。こうしたデバイスは、現場のあらゆる環境で表示できるディスプレイを備え、同時に企業の発注システムを実行できる必要がある。
- 一般的なビジネスマネジャーやプロジェクトマネジャー:ほとんどの従業員は、自社のリソースに適切にアクセスできるiPad Proを仕事に使いたいと考えている。
iPad Proでは十分ではない場面
個人的には、アプリケーションを仮想化し、それをリモートデスクトップアプリを通じて実行することは優れたエクスペリエンスではないと考えている。そのため、この目的にiPad Proを使用すべきではない。古いエンタープライズアプリケーションをWebブラウザやネイティブアプリを通じて利用できる場合のみ、ケースバイケースで実行するのは構わない。
また、企業のイントラネットは自家製のアプリケーションや劣悪なWeb標準であふれかえっている。こうした環境ではiPad Proがうまく機能しない場合がある。
仕事用にiPad Proが適切に機能しないユースケースは他にも以下のようなものがある。
- 大半のソフトウェア開発者:開発者は、通常、多くのコマンドを処理でき、さまざまな種類のソフトウェアを実行できるPCを必要とする。
- デザイナー:ペンと画面があれば、Wacomタブレットを置き換えるのには十分だ。だが、大半のデザイナーにとってiPad Proは、Wacomタブレットの補完的なデバイスにすぎない。Wacomタブレットは一般に大型で、プロフェッショナルの描画に適した特有のソフトウェアを備えている。ただし、現場でのデザインやプロトタイプ作成にはiPadで十分だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[富士ソフト株式会社] 受注業務は既に変革のステージ 出遅れて競争力を失わないためのDX戦略 -
市場調査・トレンド
[富士ソフト株式会社] 受注業務でありがち 「今は困っていない」と見直しを先送りにすることの弊害 -
製品資料
[富士ソフト株式会社] 「B2B EC」選定を製品比較から始めると迷走する理由 -
技術文書・技術解説
[SB C&S株式会社] 「Everpure FlashArray」技術詳細解説資料:概要から認証、サイジングまで解説 -
市場調査・トレンド
[セコムトラストシステムズ株式会社] EDR導入を成功に導くロードマップ:選定/稟議/運用のつまずきを防ぐコツ
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
2
生成AIが普及しても「技術書」を手放せないエンジニアの本音
-
3
IT業界の女性は9割が10年で消える 人材枯渇を招く“見えない壁”の正体
-
4
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
5
VMware離れの現実解 2500台のVM移行に挑む製造大手の全記録
-
6
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
7
脱VMwareの真実:データセンター大手がNutanixを選んだ「コスト以上の理由」
-
8
生成AIのルール整備が進む一方で活用は遅れがち? 日本企業のAI利用状況
-
9
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
10
会計ソフトウェア6製品を比較 自社に合う製品は
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
4
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
5
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
6
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
7
ランサムウェア攻撃“究極の対策”はこれだ
-
8
サイバー脅威「トップ50」完全解説ガイド、新たな攻撃手法に対抗するには
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
生成AIの活用を阻む「5つの壁」とは? AIネイティブ組織へ変革を遂げる方法
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー