Webブラウザベースアプリの増加はChrome OS系OSにとって追い風だが、Windowsネイティブアプリの存在がWindowsからの移行を阻害している。だが、その問題にも解決策はある。
前編(Computer Weekly日本語版 5月9日号掲載)では、既存のPCにインストールできる「Chromium OS」ベースのOS「CloudReady」を紹介した。
後編では、CloudReadyを企業環境に適応させるNeverwareの戦略など、「Chrome OS」系のOSが企業で有用になりつつある現状を紹介する。
Googleとそのパートナーは、Chrome OSを搭載した「Chromebook」を企業にアピールし始めている。一方Neverwareは、CloudReadyを「金銭的余裕のないIT部門が古いハードウェアを再び動かす方法」と見なしている。「学校は、新しいハードウェアを調達する必要がない」と前出のNeverwareのCEOアンドリュー・バウアー氏は語る。
「当社が開発しているOSは、長い目で見て、あらゆる規模の組織が導入したくなるようなものに仕上げたい。そのため、ユーザーエクスペリエンスに妥協はしたくない」(バウアー氏)
ライブUSBから起動できるように設計されている「Linux」とは異なり、CloudReadyは既存のデスクトップOSに取って代わることを主な目的としている。そのため、インストールされている既存のOSを上書きする。
これにより、CloudReadyを試すことをためらうユーザーも出てくるかもしれない。だが、バウアー氏はこのことを障害とは見なしていない。「当社は、CloudReadyの主なユースケースはHDDへのインストールだと考えている」
「CloudReadyとWindowsのデュアルブートもテストしたが、その方向に進むのはやめた。当社は、あらゆるデスクトップOSの中で最善の選択肢としてCloudReadyを提供したい」
また、Googleから投資を受けているため、CloudReadyをChrome OSとさらに緊密に統合できる可能性があると同氏は話す。「当社はGoogleのエンジニアリングチームと密な関係を築いていて、目標はCloudReadyをChrome OSにできる限り近づけることだ」
同社によるCloudReady対応のノートPC、デスクトップPC、Macのリストには200個のハードウェア名が並ぶ。いずれも9〜10年の年数を経たハードウェアだ。CloudReadyは、Intelのチップセットをベースとするシンクライアント端末もサポートする。バウアー氏によれば、CloudReadyを使用すれば古いハードウェアを仮想デスクトップ環境にアップデートできるという。
これを可能にするのがGoogle管理コンソールで、CloudReadyを実行する古いハードウェアを直接「キオスク」モードで起動できるようにする。つまり、仮想デスクトップインフラ(VDI)を通じてリモートデスクトップをユーザーに提供するなどの目的で、アプリケーションを1つだけ実行するよう構成できる。
かつてリモートデスクトップはChromebookの「イメージキャラクター」のようなもので、ユーザーがWindowsデスクトップにリモートアクセスすることを可能にしていた。Computer Weeklyのインタビューにそう答えていたのは、Computacenterでデジタルワークプレーステクノロジー担当チーフテクノロジストを務めるポール・ブレイ氏だ。
Windowsアプリケーションへのリモートアクセスの提供は、ほぼ間違いなくCloudReadyのユースケースの1つになるだろう。特に、企業が「Windows 7」のサポート終了を機にデスクトップITへの新たなアプローチを検討しているならばなおさらだ。Windowsでしか実行できず、SaaSとして提供されることもなく、ブラウザベースでもないアプリケーションは必ず存在する。この場合、アプリケーションを完全に刷新するのでなければ、VDIが唯一の方法となる可能性がある。
Citrix SystemsもVMwareも、Chrome OSのVDI経由でWindowsデスクトップを提供するためのChromeブラウザ拡張機能を用意している。Citrixのシニアプロダクトマーケティングマネジャー(アライアンス)ショーン・ドナヒュー氏は、ブログでこの仕組みを概説している。
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