住宅からマイクロチップまで作成できる可能性も
3Dプリント技術の進化を披露する3製品 低コストで高品質なプリントが可能に
3Dプリントテクノロジーは急速に進化している。今まで3Dプリンタが抱えていた課題を解決するような製品も登場している。本稿では、最新プリントテクノロジーを搭載したNano Dimension、XJet、HPの3Dプリンタを紹介する。
3Dプリント業界はまだ製造業全体のほんの一部を構成しているにすぎない。しかし成長中の分野であり、好調なニッチ市場になる兆しを見せている。
3Dプリントがその大々的な宣伝に値するかどうかはまだ見守る必要があるが、このテクノロジーが急速に進化していることは紛れもない事実だ。3Dプリントテクノロジーは、機械、素材、プロセスの面で多くの進化が起きている。住宅からマイクロチップまで、あらゆるサイズの3Dプリントが可能になりそうだ。
2018年4月23~26日に米テキサス州フォートワースで開催された、3Dプリント業界のカンファレンス『Rapid + TCT』では、3Dプリントの進化が披露された。本稿では、注目の3Dプリンタを3台紹介する。
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次世代の技術トレンド
電子回路のプリント基板が生成できる
Nano Dimensionの「DragonFly 2020」は、専門性の高い電子工学向けの商用3Dプリンタだ。このプリンタで使用する素材は、銀含有導電性ナノ粒子インクと誘電性インクの2種類。Nano Dimensionのマーケティングおよび広報マネジャーのガリート・ベック氏は「これらのインクを同時に吹き付け、小さな層を重ねたプリント基板(PCB)を構築する」と説明する。
PCBの3Dプリントにはさまざまなメリットがある。例えば、基板が安価で早く生成できるようになる。すると、複数の設計をテストできるようになり、開発サイクルを大幅に短縮できる。また、PCBの設計図を委託製造業者に送る必要がなくなるため、知的財産を社内に保管することができるようにもなる。
DragonFlyでプリント可能なサイズは、2ミリ×2ミリ~7インチ×7インチの範囲だ。従来の方法では不可能だったさまざまな形状でPCBをプリントすることも可能になる。
DragonFlyが適しているのは、PCBの開発とテストが必要な大規模な組織の電子工学エンジニアリング部門だとベック氏は話す。
インクジェットで高品質を実現
カンファレンスで3Dプリントの進化を披露していたもう1つのプリンタが、XJetの「Carmel 1400」だ。このプリンタは、金属素材とセラミックス素材をプリントする。セラミックスや金属の物体の3Dプリントには粉末状の素材を使うのが一般的だが、Carmel 1400では粉末ではなく、液体状のセラミックスや金属素材とインクジェットテクノロジーを使用して部品や物体を3Dプリントする。
セラミックス素材を使うことで、後処理の費用と時間を削減できる。また、ディテール、仕上がり、設計精度の高い部品を作成できると、XJetのチーフビジネスオフィサーであるドロール・ダナイ氏は説明する。
3Dプリント費用のうち70%が後処理にかかる場合もあるが、ダナイ氏によれば、XJetのナノ粒子ジェットプロセスはこの費用を大幅に削減するという。さらに、3Dプリント素材部品の標準的なレーザー焼結処理は後処理に最大13段階必要となるが、ナノ粒子ジェットプロセスは5段階で済む。
「XJet Carmelは必要な場所に素材を噴射する。粉体層は存在しない。粉じんを処理する必要もない。安全上の問題も発生しない。粒子を微小サイズにすることもできる」(ダナイ氏)
工業レベルの3Dプリント
HPの「HP Jet Fusion 3D 4210」は、他の3Dプリンタよりも短時間かつコスト効率よく、製品レベルの部品を作成することを目的に設計された工業レベルの3Dプリンタテクノロジーだ。
HP Jet Fusion 3D 4210は2段階でベッドのパウダーから部品をプリントする。1段階目でプリントベッド上に素材の層を噴射して、2段階目は逆に向かって素材全体にフュージングエージェント(溶解促進剤)とディテーリングエージェント(表面装飾剤)をプリントする。この2段階目では、プリントと溶融エネルギーを組み合わせて、部品を層ごとに高速で作成する。
作動中は2台のスキャナーが交差しながら同時に動いている様子で、複数の部品を同時に作成できる可能性がありそうだ。HP Jet Fusion 3D 4210ではこのアプローチを採用したことにより、熱溶解積層法や粉末焼結積層造形法など、他の3Dプリント手法を使用する製品で1つの部品を作成するのにかかる時間と同じ時間で、多数の部品をプリントできる。
世界的な大規模委託製造業者の1社、Jabil Circuitは最近HP Jet Fusion 4210プリンタを同社の3Dプリントセンターのグローバルネットワークに12台導入した。Jabil CircuitがHP Jet Fusionを採用した理由は3つあったと、同社のデジタルマニュファクチャリング担当バイスプレジデントを務めるジョン・ダルチノス氏は話す。
「1つは、素材通りの特性を持ち、実際に使える機能を持った部品を製造できることだ。多くの3Dプリンタではこうはいかない。2つ目は、製造速度が速く、部品製造のコスト効率が良いことだ。3つ目はHP製であること。シンガポールにプリンタを導入する場合、HPはシンガポールに営業所を持つため、サポートや拡張の支援も受けられる。HPはJabilの会社規模にちょうど良かった。規模の小さい3Dプリント企業には、当社のような企業をサポートできるインフラがない」(ダルチノス氏)
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