「仮想化」がキーワード
いまさら聞けない「クラウドストレージ」と「仮想ストレージ」
クラウドストレージは必ずしもパブリッククラウドを意味するわけではない。仮想化や仮想データストレージも仮想サーバや仮想デスクトップに関係するとは限らない。これらが実際は何を意味するのかを解説する。
ストレージに関する誤解を解いていこう。第一に、全てのクラウドストレージがAmazon Web Services(AWS)の「Amazon Web Services」やMicrosoftの「Microsoft Azure」などのパブリックサービスでホストされているわけではない。第二に、仮想化と仮想データストレージは、VMwareの「VMware ESX」やMicrosoftの「Hyper-V」といったハイパーバイザーでホストされる、仮想サーバや仮想デスクトップだけを指すわけではない。この2つの誤解には関連性がある。クラウドストレージが仮想化されているためだ。
全てのストレージはある程度仮想化されるといえる。最も基本的なブロックベースのハードウェアシステム、つまりHDDでさえ、ストレージコントローラーによるマッピングが施される。このマッピングにより、HDDの物理ディスクにある物理ハードウェアブロック、物理セクタ、物理トラックが、仮想ブロック、仮想セクタ、仮想トラックに変換される。マザーボードやストレージコントローラーはこのマッピングを基に物理ディスクと通信する。
ファイルベースのストレージでは、ファイルとメタデータを格納するためのSMB(Server Message Block)やNFS(Network File System)ボリュームが作成される。基盤のファイルシステムと、ストレージシステムが要求するファイルシステムが異なってもそれは変わらない。SMBやNFSではなく、ZFS(Zettabyte File System)などの次世代ファイルシステムを使用し、変換するファイルサーバもある。CIFS(Common Internet File System)あるいはNFSを使用し、異なるタイプのボリュームのどちらとしても使えるようにするファイルサーバもある。つまり、SMBボリュームをNFSボリュームとして、あるいはその逆の使い方ができる。これもある種のデータストレージ仮想化だといえる。
仮想データストレージの実情
ストレージ仮想化とは、利用する側がストレージへ直にアクセスしない状態を指す。サーバ、サーバインスタンス、クライアントシステム、その他ストレージを必要とするシステムがこの形態を取り得る。データセンター、パブリッククラウド、プライベートクラウドでは、ほぼ全てのストレージが仮想化されている。
iSCSIボリュームやファイバーチャネルLUN(Logical Unit Number)は理論的には内蔵HDDと同じで、ブロックデバイスのように見えても、仮想化されているとみなされる。通常はRAID(Redundant Array of Independent Disks)ボリューム、つまり複数の物理ディスクが1つ以上の仮想ディスクとして表現される。さらに階層化、スナップショット、レプリケーションなどの機能では、仮想ストレージとそれを利用する側との間に仮想化層が必要になる。重複除外、圧縮、オブジェクトストレージでは、仮想データストレージの層がさらに追加される。
仮想化の利便性は高い。ファイルは、ローカルHDDやクラウドストレージなど、異なるストレージ層でホストされることがある。こうしたファイルを、アプリケーションやエンドユーザーからは連続した単一のディレクトリツリーに見えるボリュームに格納できる。そうすることで、コストをできる限り抑えた、パフォーマンスの高いストレージが実現する。仮想データストレージを使えば、アクセス頻度の低いファイルを安価なストレージに移動できる。
さまざまな選択肢が存在するクラウド
クラウドストレージと聞くと、パブリッククラウドのストレージを思い浮かべる人も少なくない。ここでいうパブリッククラウドとはAWSの「Amazon S3」、Googleの「Google Cloud Platform」、「Microsoft Azure」などを指す。他にもさまざまなベンダーが何らかの形でクラウドストレージを提供している。BarracudaやZettaなどのバックアップツールベンダーから、OracleやSalesforce.comのようなクラウドアプリケーションベンダーまで多岐にわたる。大手3社以外にもDigitalOceanやRackspaceのようなクラウドベンダーも存在する。
データセンター用のクラウド製品においても、アプリケーションを使うことでストレージが簡単に利用できるようになる。Dell EMC、Hewlett Packard Enterprise(HPE)、Hitachi Vantara、NetAppといったIT製品ベンダーは、いずれもこうした機能を提供している。これらの製品には専用のものもあれば、単一目的のものもある。また、分散ストレージソフトウェア「Ceph」など、オープンソース規格をベースにしているものも存在する。
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