隔離環境でコードを実行
「Windows Defender」のサンドボックス機能とは? メリットとデメリットを説明
Microsoftは「Windows Defenderウイルス対策」にサンドボックスネットワークセキュリティ機能を追加した。この機能はなぜ重要なのか。企業がこの機能を利用する場合のメリットとデメリットとは。
エンドポイントセキュリティの保護にはマルウェア対策ツールが不可欠であり、次々と登場する新しい攻撃の手口に対抗するために検知、対応、防御の機能を常に強化し続けなければならない。こうしたツールは、企業で運用するエンドポイントのセキュリティ状況を監視するツールである一方、エンドポイントに対する絶え間ない攻撃の標的にもなっている。
Microsoftは同社のマルウェア対策ツールである「Windows Defenderウイルス対策」に大幅な改良を加え、実環境に影響を及ぼさない隔離環境のサンドボックス内でこのツールを実行できるようにした。本稿では、サンドボックスの利点と、企業のどこにサンドボックスを導入できるかについて説明する。
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「Windows 10」のセキュリティ対策について詳しく
サンドボックスの利点
サンドボックスには数多くの利点があり、Microsoftはブログ記事で、Windows Defenderをサンドボックス内で実行する利点とともに、この機能の開発の難しさを説明した。主要なWebブラウザや「Adobe Reader」は中核となるソフトウェアにサンドボックス機能を追加しており、他のエンドポイントセキュリティツールもサンドボックス機能を実装している。
サンドボックスを作成して分離するには仮想化やコンテナなどを使用する。サンドボックスを使えば、信頼できるコードと信頼できないコードを分離して、信頼できないコードをサンドボックス内で実行できるため、有害である可能性のあるコードがシステムで実行されるのを防ぐことができる。
サンドボックスを使ったからといってエンドポイントを完全に保護できるわけではない。マルウェアがWindows Defenderウイルス対策を迂回(うかい)してエンドポイントで有害なコードを実行すれば、システムが感染する可能性は依然として残る。Windows Defenderウイルス対策は高い権限で実行するため、もしそこに脆弱(ぜいじゃく)性があってそれが悪用されたらエンドポイントが大きな被害を受ける危険がある。サンドボックス機能を追加することは、こうした危険に対する防御を強化する上で大きな意義がある。
サンドボックスによる分離は、対象のアプリケーションがネットワークやディスク、システムメモリにアクセスするかどうかなど、アプリケーションやその用途次第で定義や制御が難しくなる。Windows Defenderは多様な形態の有害なコードに対応するためにさまざまな保護を付加しており、それがサンドボックス化にも影響する。
Microsoftはサンドボックス化がパフォーマンスに及ぼす影響を重要な懸案事項として明言しており、この新機能を導入する場合のエコシステムの課題にも言及している。企業もこのエコシステムの一部に含まれることになるが、サンドボックス化を導入する企業の側にも課題が生じる可能性がある。
課題の1つはサンドボックスの利用によって複雑性が増すことだ。有害ではないと判定したファイルをサンドボックス外の適切な場所に復元する処理もMicrosoftは課題の1つに挙げている。
参考
Windows Defender Antivirus can now run in a sandbox(Microsoft Secure)
企業のどこにサンドボックスを導入できるか
サンドボックスは、エンドポイントで実行するソフトウェアからネットワークセキュリティツールまでさまざまなセキュリティツールで利用可能であり、これらのツールでは実行可能ファイルが有害かどうかを判別するためにファイルをサンドボックスで実行することができる。
サンドボックス機能を備えたツールを導入することは、アプリケーションをサンドボックス化するセキュリティツールをエンドポイントに導入することと異なる。新しいエンドポイントセキュリティツールを追加すると継続的な管理作業が増えるが、既存のアプリケーションにサンドボックス機能を追加する場合はそうした管理作業の追加は不要だ。
Windows Defenderウイルス対策のサンドボックス機能は、「Windows 10」の開発者向け早期更新プログラム「Windows Insider Program」の参加者を対象に、Windows 10バージョン1703以降に追加されている。最新バージョンのWindows Defenderウイルス対策を実行する企業のエンドポイントはこの機能を利用できるようになる。Microsoftによると、このサンドボックス機能は実行時に有効にできるため、柔軟に導入が可能だ。
全ての企業が最新バージョンのWindowsを使用しているわけではなく、この機能が広く浸透するまで時間がかかるかもしれない。自社で使用中のエンドポイントマルウェア対策ツールにサンドボックス機能があるかどうか、ないとしたらその機能を追加する予定があるかどうか確認し、利用できない場合はその理由と今後の計画を確認しよう。
企業のアプリケーションを個別にサンドボックス化するのは難しいが、アプリケーションをアップグレードすることでサンドボックス機能を追加できればエンドポイントセキュリティを強化できる。Windows Defenderのサンドボックス機能追加は多くの意味で大きな進歩となるだろう。
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