兼任者や離職者も問題に
「ゼロ情シス」が2割弱、頼みの綱はシャドーIT――中堅企業のIT実態
2018年の中堅企業のIT活用状況についてデルが実施した調査によると、情報システム部門担当者が1人以下である「ひとり情シス」「ゼロ情シス」はいずれも増加。他部門との兼任や人員の離職も課題だ。
デルは従業員100人以上1000人未満の会社(以下、本稿における「中堅企業」とはこの規模の企業を表す)を対象に、2018年のIT投資動向に関する調査を実施した。その結果によれば、情報システム部門担当者が1人以下である「ひとり情シス」「ゼロ情シス」の中堅企業が、2017年と比べ増加したという。情報システム部門と他部門を兼任する担当者も一定数を占めることに加え、情報システム部門担当者の離職も増えており、中堅企業のIT活用における人手不足が明らかになった。こうした中、情報システム部門を通さない各部門でのIT利用「シャドーIT」の存在感も増している。
人手も時間も不足
今回の調査によると、ひとり情シスやゼロ情シスの状況にある中堅企業は全体の38%(小数点以下第1位を四捨五入、以下同じ)に上った。内訳を2017年の調査結果と比較すると、ひとり情シスの割合は14%から19%、ゼロ情シスの割合は17%から19%といずれも増加している。情報システム部門と他の部門を兼任している担当者は57%で、兼任者のうち47%が総務部との掛け持ちだという。中堅企業のIT活用における課題について、デルの上席執行役員で広域営業統括本部長を務める清水 博氏は次のように語る。「兼任部門での業務に忙殺され、クラウドなど新しいITの検討や検証に時間を割けなくなる。結果として現行の『枯れた技術』を踏襲する場合が少なくない」
中堅企業の情報システム担当者の2018年における離職率は、今回の調査では21%であることが判明。ひとり情シスだった企業に絞った場合の離職率は32%となった。清水氏によると「社内でITスキルを身に付けた人材が他社からの転職の誘いに応じたり、比較的大きなIT導入プロジェクトを終えた満足感から退職してしまったりする」という。
IT部門の人員や業務時間の不足を受け、中堅企業の各事業部におけるシャドーITが活発になっている。調査では47%の中堅企業にシャドーITが存在し、従業員規模が300人未満の企業に絞った場合では66%になるという。会社が正式に許可していないサービスやアプリケーションを利用することになるため、シャドーITは潜在的なセキュリティホールになりかねない。従って注意すべきである一方で、「人員や時間が不足している情報システム部門に代わり、クラウドなどのテクノロジー導入に寄与することも多い」と清水氏は述べる。
働き方改革やBCP策定は道半ば
調査のうち働き方改革に関する質問については、回答者のおよそ8割が「取り組んでいる」と答えた。しかしそのうちの4割以上が「何も変わっていない」と回答していることから、「中堅企業における働き方改革の質的な充実にはまだ及んでいない」と清水氏は結論付ける。
BCP(事業継続計画)について、「策定済み」または「策定中」と回答した企業は40%で、6割の中堅企業が計画を保有していない。国内において最もBCP策定が進んでいる地域は東海地方で、「策定済み」または「策定中」の中堅企業は54%だった。その他、2018年に大きな地震が発生した地域について、BCP策定率が北海道で44%、大阪府で45%となり、平均より高い数値となった。
2015年から2018年でセキュリティ事故に遭った中堅企業の割合は36%だった。これは2017年の30%と比較して6ポイント上昇している。昨今のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)など個人が情報を発信できるツールの発達を受け、それらを通じて軽率に情報を公開してしまう従業員が、情報漏えいの元凶となる場合がある。不正ログインやサービスの不正利用など、従業員個人のセキュリティ意識不足が引き起こす事故も目立つと清水氏は指摘する。「従業員のガバナンスに関わるリスクに注意が必要だ」と同氏は警鐘を鳴らす。
今回の調査は2018年12月~2019年1月にデルが実施し、国内の中堅企業868社を対象とした。
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